■測定方法を適切に再現できないから実施可能要件/明確性要件違反と判断された事例

 
<判決紹介>
平成28(行ケ)10205 特許取消決定取消請求事件
・平成29614日判決言渡
・知的財産高等裁判所第1部 清水節 中島基至 岡田慎吾
・原告:キッコーマン株式会社、日本デルモンテ株式会社
・被告:特許庁長官
・特許5694588
・発明の名称:加工飲食品及び容器詰飲料


■コメント
異議申立の取消決定に対する取消訴訟です。異議申立人は川田真衣(個人)です。

クレームに「不溶性固形分の割合」の数値限定がありましたが、その測定方法を当業者が適切に再現できないことを理由に、実施可能要件及び明確性要件を満たさないと判断されました。

請求項1は以下の通りです。

「【請求項1
 野菜または果実を破砕して得られた不溶性固形分を含む加工飲食品であって,
 6.5メッシュの篩を通過し,かつ16メッシュの篩を通過しない前記不溶性固形分の割合10重量%以上であり,
 16メッシュの篩を通過し,かつ35メッシュの篩を通過しない前記不溶性固形分の割合5重量%以上25重量%以下である
 ことを特徴とする加工飲食品。」


取消決定の理由は以下の通り。

  (1)  実施可能要件(特許法3641号)について
 
本件明細書の段落【0038】の「サンプルを上述のように水で3倍希釈してもなお粘度を有している場合は,たとえメッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分であっても篩上に残存する場合があり,その場合は適宜水洗しメッシュ目開きに相当する大きさの不溶性固形分を正しく測定する必要がある。」との記載によれば,不溶性固形分の測定に当たり,「なお粘度を有している」か否かの判断基準が必要となる。また,「適宜水洗」する程度についても,何らかの手順等の特定が必要となる。
 
しかしながら,本件明細書においては,何をもって粘度を有していると判断し,水洗が必要であるとするのか,その基準が開示されていない
 
本件発明(本件特許の請求項19に係る発明)が対象とする加工飲食品は,その組成からみて多少の粘度を有していることは明らかであるところ,「なお粘度を有している」ことについての基準が開示されていなければ,その後の水洗の要否を当業者は判断することはできない。そして,水洗が必要であると判断した場合であっても,水洗の手順によって測定結果が大きく変化することは当業者において容易に想像し得るところ,水洗をどのような手順で行うか(例えば,どの程度の水量で,どの程度の水の勢いで水洗するか等)についても何ら開示はされていない
 
よって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,本件発明の「不溶性固形分の割合」の測定方法を当業者が適切に再現することができない。  
 
したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,本件発明について,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められず,特許法3641号に規定する要件を満たしていない。 

  (2) 
明確性要件(特許法3662号)について
 
本件特許の請求項1に記載された「不溶性固形分の割合」は,上記(1)のとおり,その測定方法が当業者に適切に再現することができないものとなっているため,結局,「不溶性固形分の割合」としてどのようなものが特定されているのか明らかでなく,特定しようとする発明を不明確にしている。請求項1を引用する請求項29についても,同様である。
 
よって,本件特許の請求項19の記載は,特許法3662号に規定する要件を満たしていない。」



裁判所の判断は以下の通り。

(2)  検討
 
明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであることを要する(特許法3641号)。本件発明は,「加工飲食品」という物の発明であるところ,物の発明における発明の「実施」とは,その物の生産,使用等をする行為をいうから(特許法231号),物の発明について実施をすることができるとは,その物を生産することができ,かつ,その物を使用することができることであると解される。
 
したがって,本件において,当業者が,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて,本件発明に係る加工飲食品を生産し,使用することができるのであれば,特許法3641号に規定する要件を満たすということができるところ,本件発明に係る加工飲食品は,不溶性固形分の割合が本件条件(6.5メッシュの篩を通過し,かつ16メッシュの篩を通過しない前記不溶性固形分の割合が10重量%以上であり,16メッシュの篩を通過し,かつ35メッシュの篩を通過しない前記不溶性固形分の割合が5重量%以上25重量%以下である)を満たす加工飲食品であるから,当業者が,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて,このような加工飲食品を生産することができるか否かが問題となる。
・・・

 しかしながら,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に塊となって残存している場合に追加的に水洗をすると(段落【0038】),本件明細書の段落【0036】に記載された本件測定方法(測定対象サンプル100グラムを水200グラムで希釈し,各メッシュサイズの篩に均等に広げて,10分間放置するという測定手順のもの)とは全く異なる手順が追加されることになるのであるから,このような水洗を追加的に行った場合の測定結果は,本件測定方法による測定結果と有意に異なるものになることは容易に推認される。このように,本件明細書に記載された各測定方法によって測定結果が異なることなどに照らすと,少なくとも,水洗を要する「なお粘度を有する場合」であって,「メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に塊となって残存している場合」であるか否か,すなわち,仮に,篩上に何らかの固形分が残存する場合に,その固形物にメッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が含まれているのか,メッシュ目開きよりも大きな不溶性固形分であるのかについて,本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識に基づいて判別することができる必要があるといえる(本件条件を満たす本件発明に係る加工飲食品を生産することができるといえるためには,各篩のメッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分により形成される塊が篩上に残存する場合であるか否かを判別することができることを要する。)。

 
しかしながら,本件測定方法によって不溶性固形分を測定した際に,篩上に残存しているものについて,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が含まれているのか否かを判別する方法は,本件明細書には開示されておらず,また,当業者であっても,本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識に照らし,特定の方法によって判別することが理解できるともいえない(篩上に残存しているものが,メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分を含むものであるのか否かについて,一般的な判別方法があるわけではなく,証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば,測定に使用される篩は,目開きが16メッシュ(1.00㎜)又は35メッシュ(0.425㎜)のものと認められるから,篩上に残った微小な不溶性固形分について,単に目視しただけでは明らかではないといわざるを得ない。)。
 
そうすると,当業者であっても,本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識に基づいて,その後の水洗の要否を判断することができないことになる。
 
したがって,本件発明の態様として想定される,「測定したいサンプル100グラムを水200グラムで希釈」しても「なお粘度を有している場合」(段落【0038】)も含めて,当業者が,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の出願時の技術常識に基づいて,本件条件を満たす本件発明に係る加工飲食品を生産することができると認めることはできない。
 
以上によれば,本件明細書の発明の詳細な説明は,本件発明を当業者が実施できるように明確かつ十分に記載されているものと認めることはできない。

(3) 
原告らの主張について
・・・
  原告らは,本件明細書の段落【0038】の「なお粘度を有している場合」との記載は,例外的に本来であれば通過しなければならないような大きさの不溶性固形分が篩に残る場合,例えば,不溶性固形分がメッシュよりも明らかに大きな塊となっている場合を想定し,本件測定方法を実施する上での注意的な事項として付記的に記載したものであり,ほとんどの場合,本件明細書全体から判断し,追加的に粘度の判定及び水洗を実施せずに,段落【0036】に記載された本件測定方法によって不溶性固形分の測定を行えばよいと判断できる旨主張する。

 しかしながら,仮に,原告らの主張するように,「なお粘度を有している場合」(段落【0038】)が例外的な場合であったとしても,本件発明の対象である加工飲食品には限定がなく,本件明細書上,上記のような粘度を有する場合が想定されるのであるから,水洗をすることによって各篩上の不溶性固形分の重量を正しく測定することが必要となるのであり,そうである以上,水洗の要否を判断するために,サンプルが「なお粘度を有している場合」であって,「メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に残存する場合」に該当するか否かを判別することを要する(もっとも,本件明細書には,その判別方法が開示されておらず,当業者であっても,その後の水洗の要否を判断することができないのは前記認定のとおりであり,本件明細書の発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。)。
 
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。

  原告らは,「なお粘度を有している場合」(段落【0038】)について,本件測定方法によれば,不溶性固形分の割合が本件条件を満たさないものとなること(ケース13)が想定され,本件発明の範囲外となるから,本件明細書の段落【0038】の記載は,そもそも本件発明の実施に無関係であり支障はないとも主張する。
 
しかしながら,本件測定方法によっても,サンプルが「なお粘度を有している場合」であって,「メッシュ目開きよりも細かい不溶性固形分が篩上に残存する場合」には,適宜,水洗を行い,更に不溶性固形分の重量を実際に測定することで,本件発明に係る加工飲食品が製造されたか否かを確認することになり,その結果,本件条件を満たし,本件発明の技術的範囲を充足することもあり得るのであるから,原告らの想定する事例について,直ちに,本件発明の技術的範囲外のものということはできない(なお,仮に,本件明細書の段落【0038】の記載が本件発明の実施に無関係のものと考えるのであれば,少なくとも訂正請求の手続において削除すべきものと解される。)。
・・・

結論
 
以上のとおり,原告ら主張の取消事由1は理由がなく,その余の取消事由について判断するまでもなく,原告らの請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。」



結構前ですが、平均粒子径が不明確って判断された事例もありました(平成20()10013号 特許権侵害差止等請求控訴事件)。


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■第1回 バイオ医薬EXPOのセミナー資料完成!


先日ブログでご紹介した通り、629()にバイオ医薬EXPOでセミナーを行うのですが、その講演資料が完成しましたので、事務局へ納品しました。
講演タイトル、目次は以下のとおりです。

------------------------------------------------------------------------------
■タイトル
バイオ医薬品の特許出願動向と最新の特許訴訟・無効審判・異議申立事例

■目次
1.
バイオ医薬品とは

2.
特許出願の基本
  2.1  出願書類
  2.2 
出願から特許取得までの流れ
  2.3 
特許をとるために必要な主な要件
  2.4 
オプジーボ(抗PD-1抗体)特許の特許公報
  2.5 
バイオ医薬特許のクレームの例
  2.6 
抗体特許に特有のクレーム限定の例
  2.7 
核酸医薬特許のクレームの例

3.
抗体医薬関連特許の出願分析
  3.1  RANKL抗体の出願分析
  3.2 
抗グリピカン3抗体の出願分析
  3.3 
IL-6R抗体
の出願分析

4.
バイオ医薬品特許の訴訟事例
  4.1  オプジーボ/キイトルーダ(抗PD-1抗体)の事例
  4.2 
レパーサ/プラルエント(抗PCSK抗体)の事例
  4.3 
ヒュミラ(抗TNF-α抗体)の事例
  4.4 
ニューポジェン/ザルシオ(G-CSF)の事例
  4.5  CRISPR-Cas9
(ゲノム編集技術)の事例

5.
バイオ医薬品特許の異議申立・無効審判の事例
  5.1  異議申立・無効審判の流れ
  5.2  2015
年以降のバイオ医薬特許の異議申立・無効審判の事例
    5.2.1 
アクテムラ製剤特許の無効審判事例 ~ポリクロとモノクロを組み合わせるのは難しい~
    5.2.2 
アクテムラ併用特許の無効審判事例 ~併用の効果が単剤より高いのは予想外?~
    5.2.3 
レパーサ競合品特許の無効審判事例 ~競合抗体クレームの有効性~
    5.2.4 
オプジーボ用途特許の異議申立事例 ~多数列挙中の一行記載の弱さ~
    5.2.5 
ハーセプチン用法特許の無効審判事例 ~後出しデータの参酌の可否~
------------------------------------------------------------------------------


講演の持ち時間が50分なのですが、PPTスライドが89枚あります。
89
枚は本来多すぎると思いますが、全てのスライドについて詳細に解説する予定はなく、解説しきれない部分は興味があれば各自後で読んでいただくことを想定しています。

今回は訴訟・異議・無効審判を中心にしたいとおもっているので、目次の前半部分はささっと終わらせて、後半部分(主に5)に時間をかけたいと思っています。

目次の5.2.15.2.5の無効審判と異議申立の事例については、新しい事例なので解説したセミナーはほとんどないんじゃないかなと思います。
無効審判と異議申立の結果については、いずれも特許権者に有利な結果になっています。今後、審決取消訴訟が提起される(又は無効審判が請求される)可能性が高いと思いますので、そんな進行中のものについてコメントはしにくいのですが、せっかくの機会なので、自分が請求人(又は申立人)側だったらどんな主張ができるかについても少しコメントする予定です。


セミナーの申込み方法などの情報は、下記ページに記載しています。

(629) 「第1回 バイオ医薬EXPO」でバイオ医薬特許の講演をします。





■(6月29日) 「第1回 バイオ医薬EXPO」でバイオ医薬特許の講演をします。


6月29日(木)に、「第1回 バイオ医薬EXPO」で講演させていただくことになりました。
バイオ医薬EXPOのサイトは「http://www.biopharma-expo.jp/」です。

講演タイトルなどは下記の通りです。

■タイトル
バイオ医薬品の特許出願動向と最新の特許訴訟・無効審判・異議申立事例

■講演者
SK特許業務法人 徳重大輔

■講演内容
最近話題のバイオ医薬品をいくつか取り上げ、製品毎にどのような特許出願がされているかを解説する。さらに、ここ1~2年のバイオ医薬品の特許訴訟、無効審判、異議申立の事例を解説する。取り上げるバイオ医薬品としては、抗体医薬(抗PD-1抗体など)が半分以上で、残りは核酸医薬、iPS細胞などを予定している。

■日時等
・日時:2017年6月29日(木) 14:00-15:00
・会場:東京ビッグサイト
・受講料金:3000円

■サイト
バイオ医薬EXPOのセミナー一覧 
PDFデータ
申込みのページ


過去にバイオ医薬品特許のセミナーをしたことがあるのですが、そのときは明細書作成とか、OA応答とかの権利化実務に直結した内容でした。ただ、これだとバイオ医薬EXPOの趣旨とは合いにくいかなと思い、今回は特許の訴訟・無効審判・異議申立関係の内容をメインにしました。
資料はほぼ全てこれから作る予定です。訴訟や異議の件数の話ではなく、具体的な事例を挙げて、無効理由・論理構成などの具体的な内容に踏み込んだ話にしようと思っています。あと2ヶ月以上あるので、何とか時間を空けて資料を作ろうと思います。

バイオ医薬EXPOは、インターフェックスジャパン(http://www.interphex.jp/)やBIO tech 2017(http://www.bio-t.jp/)などの展示会と同日に開催されます。展示会への参加は無料です。セミナーは有料と無料があるようです。
各セミナー・基調講演への講師紹介割引もありますので、ご興味のある方はご連絡ください。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。


▼関連ページ
(2月25日) バイオ医薬品特許のセミナーを開催します。


■書籍「先端治療技術の実用化と開発戦略」に核酸医薬特許の論文が掲載されます。


今月末に、私が一部執筆を担当させていただいた書籍が発売されます。
タイトルなどは下記の通りです。

■書籍タイトル
先端治療技術の実用化と開発戦略
(核酸医薬、免疫療法、遺伝子治療、細胞医薬品)

■発売日等
発刊予定日:20174月末
体裁:A4判 約470
定価:80,000(税抜)
出版社:()技術情報協会

■サイト
出版社ホームページ
PDFデータ


執筆者は70人もいるそうです。
私が担当したのは核酸医薬の特許に関する部分です(第111節)。
担当部分の目次は下記の通りです。

 11節 核酸医薬品に関する特許実務上の留意点
 1.基本特許
 2.審査基準・審査ハンドブック
 3.核酸医薬特許の種類と実務上の留意点
  3-1. 基本構造限定型
  3-2. ターゲット限定型
  3-3. 製品配列限定型
 4.審査・拒絶対応事例


RNAi
関連特許の事例をいくつか紹介しつつ、出願、権利化する上での基本的事項と留意点について解説しています。
過去に知財管理誌で抗体医薬特許とiPS細胞特許の論文を書きましたが、今回はもう少し一般的な書籍なので、知財管理誌ほどは難しすぎず、かといって簡単すぎず、かつネットや過去の論文にない情報を入れるというイメージで書きました。
これを書いたのは昨年の3月だったので、約1年越しの発売となりました。無事発売されてよかったです。

このような機会を与えてくださった関係者の皆さまありがとうございました。


▼関連ページ
「知財管理」6月号にiPS細胞の製法特許の論文が掲載されました。
「知財管理」11月号に抗体特許の論文が掲載されました。



■最高裁 マキサカルシトール製法特許の「均等侵害」認め、中外製薬が勝訴


<判決紹介>

マキサカルシトール製法特許の均等侵害の最高裁判決がでました。 DKSHジャパンらの上告は棄却されました。 最高裁では均等の第5要件(特段の事情)のみ判断されました。

中外製薬のニュースリリースはこちらです。

オキサロール®軟膏の特許権侵害訴訟における最高裁判所判決勝訴のお知らせ
http://tyn-imarket.com/pdf/2017/3/24/140120170324426840.pdf

判決はこちらです。

▼平成28年(受)第1242号 特許権侵害行為差止請求事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/086634_hanrei.pdf

原審の知財高裁大合議は下記で紹介していました。

マキサカルシトール製法特許侵害訴訟、知財高裁大合議も均等と判断
http://biopatentblog.blog.fc2.com/blog-entry-159.html


■カゴメ 対 伊藤園のトマトジュース特許訴訟


カゴメ 伊藤園の訴訟を朝日新聞が報道し、ネットで話題になっています。

▼Yahooニュース
カゴメ、伊藤園を提訴 トマトジュース製法特許めぐり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170302-00000088-asahi-soci

記事を読むに、経緯は下記のようです。

伊藤園のトマトジュースに関する特許が2013年に登録された。
カゴメが無効審判を請求した。
特許庁が有効審決をした。
カゴメが知財高裁へ審決取消訴訟を提起した。

特許番号は報道されていませんが、おそらく下記と思われます。


-------------------------------------------------------------------------------------
・特許5189667
・登録日:2013.2.1
・出願日:2011.4.20
・発明の名称:トマト含有飲料及びその製造方法、並びに、トマト含有飲料の酸味抑制方法

(登録時)
【請求項1
 
糖度7.013.0であり、糖酸比19.030.0であり、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が、0.250.60重量%であることを特徴とする、
トマト含有飲料
【請求項8
 
少なくともトマトペースト(A)と透明トマト汁(B)を配合することにより、糖度が7.013.0及び糖酸比が19.030.0となるように、並びに、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が0.250.60重量%となるように、前記糖度及び前記糖酸比並びに前記グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量を調整することを特徴とする、
トマト含有飲料の製造方法。
【請求項11
 
少なくともトマトペースト(A)と透明トマト汁(B)を配合することにより、糖度が7.013.0及び糖酸比が19.030.0となるように、並びに、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が0.250.60重量%となるように、前記糖度及び前記糖酸比並びに前記グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量を調整することを特徴とする、
トマト含有飲料の酸味抑制方法。

(訂正後)
【請求項1
 糖度が9.410.0であり、糖酸比が19.030.0であり、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が、0.360.42重量%であることを特徴とする、
トマト含有飲料。
【請求項8
 少なくともトマトペースト(A)と透明トマト汁(B)を配合することにより、糖度が9.410.0及び糖酸比が19.030.0となるように、並びに、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が0.360.42重量%となるように、前記糖度及び前記糖酸比並びに前記グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量を調整することを特徴とする、
トマト含有飲料の製造方法。
【請求項11
 少なくともトマトペースト(A)と透明トマト汁(B)を配合することにより、糖度が9.410.0及び糖酸比が19.030.0となるように、並びに、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が0.360.42重量%となるように、前記糖度及び前記糖酸比並びに前記グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量を調整することを特徴とする、
トマト含有飲料の酸味抑制方法。
-------------------------------------------------------------------------------------


本件特許の実施例には、12人のパネラーによる官能評価の結果が記載されています(評価は下の6行です)。

itouen_20170303.jpg

報道記事によると、

「カゴメ側は2日の弁論で「『濃厚な味わい』などの具体的な定義が不明で、裏付けるデータも少ない」と主張。伊藤園側は「トマトジュース市場に新たな分野を開拓した、意義がある発明だ」と反論した。」

そうです。
審決をざっと見た感じでは、実施可能要件/サポート要件違反の主張の中で濃厚な味わいを問題にしているようです。


話がずれますが、じつは私はトマトがあまり好きじゃないので、トマトジュースは基本飲みません。野菜ジュースはできればトマトっぽい味の無い(薄い)ものが好みです。
以前、野菜汁100%と書いてあるものをいくつか飲み比べてみたことがあるのですが、伊藤園の「1日分の野菜」がトマトっぽい味が薄くて飲みやすかったです。

itouen_yasai_20170303.jpg

と、トマト嫌いの偏った立場からみると、「濃厚な味わい」じゃない方がよいような気もします。むしろ参考例7の方が甘みがあっていいんじゃないかっていう。。。
ググってみたところ、「濃厚なトマトジュース」、「・・・のトマトジュースは濃厚です。」みたいな記事がたくさんヒットしました。どうやらトマトジュース業界では「濃厚」って推しキーワードのようです。
なるほど。



<3月22日追記>

下記のカゴメのニュースリリースによると、5/16発売予定だった野菜ジュースの発売が10/3に延期になったらしいです。
このタイミングなのでまさかと思って見てみましたが、理由は”現在、トマトジュースの需要が急拡大しており、商品供給能力を大幅に上回る受注に対して、十分な出荷ができない状況となっております。”とのこと。

http://www.kagome.co.jp/company/news/n_pdf/170322999.pdf




■「延長された特許権の効力」の知財高裁大合議判決

 
<判決紹介>
・平成28(ネ)10046号 特許権侵害差止請求控訴事件
・平成29120日判決言渡
・知的財産高等裁判所特別部 設樂隆一 清水節 髙部眞規子 鶴岡稔彦 寺田利彦
・控訴人:デビオファーム・インターナショナル・エス・アー
・被控訴人:東和薬品株式会社
・特許3547755


コメント:
新薬 vs ジェネリックの侵害訴訟。
延長された特許権の効力」についての知財高裁大合議判決です。

ヤクルト社(専用実施権者)は先発品のエルプラット点滴静注液50,100,200mg(一般名:オキサリプラチン)を販売しています。
東和薬品は後発品のオキサリプラチン点滴静注50,100,200mg「トーワ」を販売しています。

デビオファーム社は先発品をカバーする製剤特許3547755を有しています。
この製剤特許は、延長登録出願により、最長で2020/1/29まで存続期間が延長されています。
クレーム1は下記の通りです。

「【請求項1
濃度が1ないし5mg/ml
B  pH
4.5ないし6
オキサリプラティヌムの水溶液からなり
医薬的に許容される期間の貯蔵後,製剤中のオキサリプラティヌム含量が当初含量の少なくとも95%であり,
該水溶液が澄明,無色,沈殿不含有のままである,
腸管外経路投与用の
オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤。」



一審(東京地裁)でデビオファーム社は、上記の延長された特許権の効力が東和薬品の後発品に及ぶと主張し、後発品の生産等の差止め及び廃棄を求めていました。それに対して、一審判決は、延長された特許権の効力は後発品に及ばないと判断していました。
一審判決は下記ページで紹介しています。

2016/4/20 平成27()12414号 特許権侵害差止請求事件

本件は、デビオファーム社が一審判決を不服として控訴した事案です。



本件で、知財高裁大合議は、後発品が、
本件処分の対象となった物と実質同一なものに含まれるということはできないと判断し、延長された特許権の効力は後発品に及ばないと判断しました。 控訴棄却。

さらに、そもそも後発品は本件特許発明の技術的範囲に属さないとも判断しました。技術的範囲に属さないということは、それだけ本件特許発明と後発品は別物であったということでも
あり、「実質同一か否か」の観点に関しては、今後、技術的範囲に属する場合の侵害訴訟が提起された場合には、もう一歩踏み込んだ判断が必要になると思います。
後発品メーカーの戦略として、製剤特許を取得しておいて、実質同一ではない根拠を作っておくっていうのも一考だと思います。



裁判所の判断は下記の通り。

「第4 当裁判所の判断
 当裁判所も,存続期間が延長された本件特許権の効力は,一審被告による一審被告各製品の生産等には及ばず,本件請求は理由がないものと判断する。
 その理由は,以下のとおりである。
1
68条の2に基づく延長された特許権の効力の及ぶ範囲について
・・・。

イ 上記アによれば,相手方が製造等する製品(以下「対象製品」という。)が,具体的な政令処分で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」において異なる部分が存在する場合には,対象製品は,存続期間が延長された特許権の効力の及ぶ範囲に属するということはできない。しかしながら,政令処分で定められた上記審査事項を形式的に比較して全て一致しなければ特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることができるとすれば,政令処分を受けることが必要であったために特許発明の実施をすることができなかった期間を回復するという延長登録の制度趣旨に反するのみならず,衡平の理念にもとる結果になる。このような観点からすれば,存続期間が延長された特許権に係る特許発明の効力は,政令処分で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」(医薬品)のみならず,これと医薬品として実質同一なものにも及ぶというべきであり,第三者はこれを予期すべきである(なお,法68条の2は,「物についての当該特許発明の実施以外の行為には,及ばない。」と規定しているけれども,同条における「物」についての「当該特許発明の実施」としては,「物」についての当該特許発明の文言どおりの実施と,これと実質同一の範囲での当該特許発明の実施のいずれをも含むものと解すべきである。)。
 したがって,政令処分で定められた上記構成中に対象製品と異なる部分が存する場合であっても,当該部分が僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異にすぎないときは,対象製品は,医薬品として政令処分の対象となった物と実質同一なものに含まれ,存続期間が延長された特許権の効力の及ぶ範囲に属するものと解するのが相当である。

ウ そして,医薬品の成分を対象とする物の特許発明において,政令処分で定められた「成分」に関する差異,「分量」の数量的差異又は「用法,用量」の数量的差異のいずれか一つないし複数があり,他の差異が存在しない場合に限定してみれば,僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異かどうかは,特許発明の内容(当該特許発明が,医薬品の有効成分のみを特徴とする発明であるのか,医薬品の有効成分の存在を前提として,その安定性ないし剤型等に関する発明であるのか,あるいは,その技術的特徴及び作用効果はどのような内容であるのかなどを含む。以下同じ。)に基づき,その内容との関連で,政令処分において定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」と対象製品との技術的特徴及び作用効果の同一性を比較検討して,当業者の技術常識を踏まえて判断すべきである。

 上記の限定した場合において,対象製品が政令処分で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」と医薬品として実質同一なものに含まれる類型を挙げれば,次のとおりである。

 すなわち,
①医薬品の有効成分のみを特徴とする特許発明に関する延長登録された特許発明において,有効成分ではない「成分」に関して,対象製品が,政令処分申請時における周知・慣用技術に基づき,一部において異なる成分を付加,転換等しているような場合,

②公知の有効成分に係る医薬品の安定性ないし剤型等に関する特許発明において,対象製品が政令処分申請時における周知・慣用技術に基づき,一部において異なる成分を付加,転換等しているような場合で,特許発明の内容に照らして,両者の間で,その技術的特徴及び作用効果の同一性があると認められるとき,

③政令処分で特定された「分量」ないし「用法,用量」に関し,数量的に意味のない程度の差異しかない場合,

④政令処分で特定された「分量」は異なるけれども,「用法,用量」も併せてみれば,同一であると認められる場合(本件処分12,本件処分5ないし7がこれに該当する。)

は,これらの差異は上記にいう僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異に当たり,対象製品は,医薬品として政令処分の対象となった物と実質同一なものに含まれるというべきである(なお,上記①,③及び④は,両者の間で,特許発明の技術的特徴及び作用効果の同一性が事実上推認される類型である。)。

 これに対し,前記の限定した場合を除く医薬品に関する「用法,用量,効能及び効果」における差異がある場合は,この限りでない。なぜなら,例えば,スプレー剤と注射剤のように,剤型が異なるために「用法,用量」に数量的差異以外の差異が生じる場合は,その具体的な差異の内容に応じて多角的な観点からの考察が必要であり,また,対象とする疾病が異なるために「効能,効果」が異なる場合は,疾病の類似性など医学的な観点からの考察が重要であると解されるからである。



エ 最高裁平成10224日第三小法廷判決・民集521113頁(ボールスプライン事件最判)は,・・・
 以上によれば,法68条の2の実質同一の範囲を定める場合には,前記の五つの要件を適用ないし類推適用することはできない。

オ ただし,一般的な禁反言(エストッペル)の考え方に基づけば,延長登録出願の手続において,延長登録された特許権の効力範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がある場合には,法68条の2の実質同一が認められることはないと解される。
・・・。



2
本件についての検討
 以上に基づいて,延長登録された本件特許権の効力が一審被告各製品の生産等に及ぶか否かについて判断する。
・・・

 延長登録された本件特許権の効力は,本件各処分の「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」についての「当該特許発明の実施」の範囲で及ぶところ,本件各処分の「成分」は,文言解釈上,いずれもオキサリプラチンと注射用水のみを含み,それ以外の成分を含まないものである。
 これに対し,一審被告各製品の「成分」は,いずれもオキサリプラチンと注射用水以外に,添加物としてオキサリプラチンと等量の濃グリセリンを含むものであり,その使用目的が安定剤であることは,前記第22(4)イのとおりである。

 そうすると,本件各処分の対象となった物と一審被告各製品とは,少なくとも,その「成分」において文言解釈上異なるものというほかなく,この点の差異が,僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異であるとして,法68条の2の実質同一といえるのか否かを判断すべきことになる。
 この点,一審原告は,一審被告各製品がいずれもオキサリプラチンを唯一の有効成分としているから,本件各処分の対象となった物に当たる旨主張する。しかし,政令処分が医薬品医療機器等法所定の医薬品に係る承認である場合,当該政令処分を受けることが必要であったために実施することができなかった物を特定するための事項としての「成分」が有効成分に限られないことは,前示のとおりであって,採用できないというべきである。

(2)
一審被告各製品が本件各処分の対象となった物と実質同一なものに含まれるか否かについて
 一審被告各製品と本件各処分における「成分」における上記差異が,僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異であり,実質同一の範囲内の差異か否かについては,本件発明の内容に基づき,その内容との関連で,本件各処分において定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」と対象製品との技術的特徴及び作用効果の同一性を比較検討して,当業者の技術常識を踏まえて,これを認定判断する必要がある
・・・。

 これによれば,本件発明においては,オキサリプラティヌム水溶液において,有効成分の濃度とpHを限定された範囲内に特定することと併せて,何らの添加剤も含まないことも,その技術的特徴の一つであるものと認められる。

 以上によれば,本件各処分と一審被告各製品とにおける「成分」に関する前記差異,すなわち,本件各処分の対象となった物がオキサリプラティヌムと注射用水のみからなる水溶液であるのに対し,一審被告各製品がこれにオキサリプラティヌムと等量の濃グリセリンを加えたものであるとの差異は,本件発明の上記の技術的特徴に照らし,僅かな差異であるとか,全体的にみて形式的な差異であるということはできず,したがって,一審被告各製品は,本件各処分の対象となった物と実質同一なものに含まれるということはできない。

ウ よって,一審被告各製品は,作用効果の同一性などその余の点について検討するまでもなく,本件各処分の対象となった「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」についての本件発明の実施と実質同一なものとして,延長登録された本件特許権の効力範囲に属するということはできない。



(3)
技術的範囲の属否について
一審被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するかについても判断する。
 本件発明の特許請求の範囲の記載の「オキサリプラティヌムの水溶液からなり」との構成要件Cは,オキサリプラティヌムと水のみからなる水溶液であるのか,オキサリプラティヌムと水からなる水溶液であれば足り,他の添加剤等の成分が含まれる場合も包含されるのかについて,特許請求の範囲の記載自体からは,いずれの解釈も可能である。そこで,構成要件Cについては,本件明細書の記載及び出願の経過を参酌して判断する。
・・・。

 以上によれば,本件発明の特許請求の範囲の記載の「オキサリプラティヌムの水溶液からなり」(構成要件C)との文言は,本件発明がオキサリプラティヌムと水のみからなる水溶液であって,他の添加剤等の成分を含まないことを意味するものと解さざるを得ない
 これに対し,一審被告各製品は,オキサリプラチンと注射用水のほか,有効成分以外の成分として,オキサリプラチンと等量の濃グリセリンを含有するものであるから,一審被告各製品は,その余の構成について検討するまでもなく,本件発明の技術的範囲に属さないものといわざるを得ない(なお,(1)及び(2)のとおり,本件においては,法68条の2の延長登録された特許権の効力範囲について
の判断が先行したが,これは本事案の経緯とその内容に鑑み,そのようになったにすぎず,通常は,まず,相手方の製品が特許発明の技術的範囲に属するかどうかを先に判断することも検討されるべきである。)。

(4) 
小括
 以上のとおりであるから,一審被告各製品に対し,延長登録された本件特許権の効力は及ばない。



3 当審における一審原告の追加的主張について,必要な限度で判断する。
(1) 一審原告は,延長登録された特許権の効力範囲における実質同一物等に当たるかどうかは,特許権の存続期間の延長登録の制度趣旨に基づいて検討すべきものである以上,問題とすべきは,「先発医薬品が処分を受けるために特許発明の実施ができなかったことにより得られた成果に全面的に依拠して,安全性の確保等法令で定めた試験等を自ら行うことなく,承認を得ているかどうか」であり,技術的範囲の通常の理解に照らして検討するのは誤りである,そして,一審被告各製品のように,添加剤を異にする後発医薬品であっても,先発医薬品が処分を受けるために特許発明の実施ができなかったことにより得られた安全性の確認等の成果に全面的に依拠して,自らは安全性の確保等に関して法令で定めた試験等を行うことなく,承認を得て製造,販売しているものであれば,当然に実質同一物等に該当すると解釈すべきである旨主張する(その論拠として,後発医薬品としての一審被告各製品の位置付けや,後発医薬品において使用される添加剤に関し厳格な規制が存することなどを挙げる。)。 

 しかしながら,一審原告の主張は,要するに,医薬品の承認制度の面から,後発医薬品として承認されたものは全て実質同一物等に当たる(先発医薬品に係る特許発明の効力が及ぶ)と断じるに等しく,法68条の2の制度趣旨や解釈論を無視するものであって,採用することはできない。・・・。 

 しかるに,一審原告の主張は,当該特許発明の内容に関わらず,いわば医薬品としての有効成分や治療効果のみに着目して延長された特許権の効力範囲を論ずるものであり,これは前記のとおりの法68条の2の制度趣旨や解釈論に反することが明らかであって,採用することはできないというべきである。」


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徳重大輔

Author: 徳重大輔

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