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■(バクスアルタ 対 中外製薬)エミシズマブに対する特許侵害訴訟 東京地裁で中外製薬が勝訴


「中外製薬」の新薬エミシズマブに対して「バクスアルタ」が提起した特許侵害訴訟の件で、東京地方裁判所は中外製薬勝訴の判決を言い渡したそうです。

ニュースリリースはこちらです。
エミシズマブは薬価収載前とのことです。

▼エミシズマブに関する特許侵害訴訟の勝訴に関するお知らせ(20180328日)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20180328143003.html

1. 訴訟の提起および判決のなされた日
 2016
56  訴状受領
 2018
328  判決言渡し
2.
訴訟の原因及び判決に至った経緯
 血友病Aに対する新薬エミシズマブ(薬価収載前。開発コード:ACE910)が、バクスアルタ社保有の特許第4313531号に触れるとし、エミシズマブの製造、使用、譲渡、輸出、譲渡の申出の差止め、ならびに廃棄を求める訴えが提起された。東京地方裁判所において当社の主張が認められ、中外製薬勝訴の判決が下された。



訴訟提起時のニュースリリースはこちらです。エミシズマブは臨床開発中と記載されています。

当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ(20160511日)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160511150000.html


対象特許はこちらです。

JP4313531
【請求項1】
第IX因子または第IXa因子に対する抗体または抗体誘導体であって、凝血促進活性を増大させる、抗体または抗体誘導体。



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■STAP細胞の特許出願の今(2018年2月)


STAP細胞の日本の特許出願(特表2015-516812)に拒絶査定がでたそうです。

・日本のSTAP特許出願に拒絶査定

https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20180223-00081916/

これまでの経過は以下の通りです。

 2012/04/24:優先日(米国)
 2013/04/24PCT出願
 2014/10/24:国内移行(日本)
 2017/03/07:拒絶理由通知書
 2017/09/07:補正書、意見書
 2018/02/20:拒絶査定 ←いまココ

当初請求項1は下記でした。

「【請求項1
細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。」

これに対して、3/7の拒絶理由通知書では、新規性、進歩性、実施可能要件、サポート要件、明確性、産業上の利用可能性に関する拒絶理由が通知されました。

出願人は、9/7の補正書で、以下のように請求項1を補正していました。

「【請求項1
細胞を、低pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5.45.8pHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法。」

STAP
細胞は未だに再現されていないので「多能性細胞」での権利化はさすがに厳しいことから、再現性がある(と思われる)「Oct4を発現する細胞」に補正したということだと思います。

そして今回、拒絶査定が出ました。拒絶理由は、サポート要件違反、実施可能要件違反です。
(次回は拒絶査定不服審判にいきます
(出願人が希望すれば)。)

サポート要件に関しては以下の通り判断されました。

-----------------------------------------------------------------------------
<特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について>
 平成29223日付け起案の拒絶理由通知書の理由4<サポート要件1>に記載したとおり、請求項1に係る発明について、発明の詳細な説明の記載から把握できる発明の課題は、細胞をストレスに供することによって細胞を脱分化させて多能性細胞を生成することであると認められる([0002]-[0018])。一方、補正後の請求項1には、生成するものについて、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊としか規定されていない。すなわち、補正後の請求項1に係る発明は、あらゆる発現レベルでOct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法を包含するものである。
 ここで、細胞の分化・脱分化誘導においては、Oct4遺伝子は多能性マーカーの1つではあるものの、当該遺伝子の発現のみをもって多能性細胞が生成したということができないことが本願出願時の技術常識である。さらに、その発現レベルについても、例えば、ES細胞等と比較して生物学的に意義のあるレベルで発現することが請求項に規定されているわけでもなく、その発現レベルにかかわらず単にOct4を発現するという性質を有する細胞を含有する細胞塊を生成したというだけでは、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成したこと、すなわち、本願発明の課題を解決したことにならないことは、出願時の技術常識に照らし、明らかである。そうすると、発明の詳細な説明には、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊であれば、本願の上記課題を解決できると当業者に認識できる程度に記載されているとはいえない。
 請求項2-21に係る発明についても同様である。
-----------------------------------------------------------------------------


実施可能要件に関しては以下の通り判断されました(下線は拒絶査定のままです)。

-----------------------------------------------------------------------------
<特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について>
 特許法第36条第4項第1号の規定は、その発明の属する技術分野において研究開発のための通常の技術的手段を用い、通常の創作能力を発揮できる者が、明細書及び図面に記載した事項と出願時の技術常識とに基づき、請求項に係る発明を実施することができる程度に、発明の詳細な説明を記載しなければならない旨を意味する。
 ここで、細胞の分化・脱分化誘導に関する技術分野においては、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成するには、外来遺伝子導入等が必須と認識されており、そのような処置なしには多能性細胞への脱分化を誘導し得ないことが、本願出願時における当業者の技術常識であったと認められる(例えば参考文献8の第5頁右欄下から2段落目参照)。そして、平成29223日付け起案の拒絶理由通知書の理由3<実施可能要件1-1>に記載したとおり、本願の発明の詳細な説明の実施例において示された内容はNature論文と同内容のものと認められるところ、当該論文取り下げ及び再現実験の結果という事情に鑑みれば、現時点においては、当該論文において確認された現象は、その信憑性については疑義があり、また、再現不可能なものというほかない。つまりこのことは、Nature論文と同内容の実施例を具体的根拠とする、本願の発明の詳細な説明の内容についても妥当するものであり、実施例における記述自体にかかわらず、外来遺伝子の導入等なしに細胞を脱分化させ多能性細胞を生成することや、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成するという発明の技術内容が、発明の詳細な説明において明確かつ十分に記載されているとはいえないことを意味する。
 したがって、本願の発明の詳細な説明には、上記補正後の請求項1に係る発明について、外来遺伝子の導入をすることなく多能性幹細胞への脱分化を誘導し得ないという技術常識にもかかわらず、細胞をストレスに供するだけで脱分化させ多能性細胞を生成すること、あるいは、多能性を示す可能性がある細胞としてOct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成することが実施可能である、といえる程度に明確かつ十分には記載されていない。
 請求項2-21に係る発明についても同様である。

 この点について、本願出願人は、平成2997日付けの意見書において、以下の2点について主張している。

「上述の通り、新請求項1に係る発明は、「細胞を低pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5.45.8pHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法」です。このストレス条件(即ち、ATPにより調整された5.45.8の低pHストレス)については、本願の発明の詳細な説明において、Oct4遺伝子を発現する細胞を含有する細胞塊を生成したことが具体的に示されています(本明細書の段落[0155][0164][0190][0196]等をご参照ください)。従いまして、本願の発明の詳細な説明は、新請求項1に係る発明を、当業者が実施可能であるといえる程度に明確且つ十分に記載しており、また、新請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものです。」(本願出願人の主張1

「参考文献の1つとして審査官殿より引用された「11.Hitoshi Niwa, et al.Scientific Report20166月,628003p.1-9doi 10.1038/srep28003」には、新請求項1に係る発明が、当業者により再現できた事実が明確に示されています(当該文献のp2、下から8行目~2行目;p3、上から16行目~23行目及び上から27行目~31行目;p5、上から1行目~4行目及び下から8行目~5行目、図1等をご参照ください)。具体的には、当該参考文献中のこれらの箇所においては、ATPを用いての低pHストレスを細胞に与えることによって、細胞塊が生成し、且つ当該細胞塊にはOct4遺伝子が発現している細胞が含まれていたことが端的に記載されています。従いまして、新請求項1に係る発明は、本願明細書の実施例においてだけでなく、当該技術分野において一流誌の1つと認められている学術雑誌に掲載された論文によっても実施可能であることが実証された発明にほかなりません。
 上記のように、ATPにより調整された5.45.8の低pHストレスに細胞を供することにより、Oct4遺伝子を発現する細胞を含有する細胞塊が生成されることは、他の当業者による追試によって、その再現性が確認されているわけですから、少なくとも、その点について記載された本願実施例の内容は、信憑性に疑義はなく、当業者であれば、発明の詳細な説明の記載に基づいて、再現可能なものであることは明らかであります。」(本願出願人の主張2

 まず、本願出願人の主張1について検討する。
 本願明細書[0155][0164][0190][0196]には、Oct4-GFPGOF)マウスから入手した脾臓から回収したCD45陽性細胞を、低pHへ曝露させ、GFP発現細胞をFACSを使用して同定し、分別し、回収して、Oct4の遺伝子発現をRT-PCRによって確認したところ、細胞をOct4を発現するように変化させることができたことが記載されている。さらに、脳、皮膚、筋肉、脂肪、骨髄、肺及び肝臓をOct4-GFPGOF)マウスから回収し、低pHへ曝露させることにより、細胞をOct4-GFPを発現するように変化させることができたことも記載されている。
 しかしながら、平成29223日付け起案の拒絶理由通知書の「理由34(実施可能要件、サポート要件)について」に記載したとおり、本願の発明の詳細な説明の実施例において説明された内容は、本願出願後に公開されたNature誌掲載の参考文献4及び5の内容と同じものであり(以下、参考文献4及び5をまとめて「両Nature論文」という。)、当該両Nature論文には、本願の発明者が共著者として名を連ねていることから(特に、参考文献4の共著者には本願発明者全員が含まれる)、この特許出願と論文発表は、ともに本願発明者らによって行われた同一の研究活動によって得られた成果に基づくものであるといえる。そして、両Nature論文は共に201473日に取り下げられ、その際、それぞれの著者全員による文面として「これらの複数の誤りは本研究の信頼性を全体として損なうものであり、STAP幹細胞の現象が真実であるか否かについて、我々は疑いなく述べることができない。」と記載されている(参考文献67112頁それぞれの最終段落)。さらに、当初本願の共同出願人であった理化学研究所における解析の結果において、Nature論文につき、用いられた全てのSTAP細胞関連材料はES細胞に由来するものであったことが判明し、細胞ストレスによって多能性細胞へと再プログラム化するという論文の証拠には異議がある、との結論となったものと認められる(参考文献10の第E5頁右欄第2段落)。そうすると、両Nature論文に掲載された実験データを取得した一連の研究活動と同一の研究活動に基づく本願明細書記載の実験データは、本願明細書に記載されたとおりの手法により得られたものであるか否かが不明であり、その信憑性について疑義があるというほかない。
 したがって、本願出願人の上記主張1は採用することができない。

 次に、本願出願人の主張2について検討する。
 本願出願人が主張するとおり、参考文献1には、ATPを用いての低pHストレスを細胞に与えることによって、細胞塊が生成し、且つ当該細胞塊にはOct4遺伝子が発現している細胞が含まれていたことが記載されている。
 しかしながら、他の当業者による追試によって、少なくともOct4遺伝子の発現という現象については、その再現性が確認されたとしても、そのことをもって、本願明細書記載の実験データが、本願明細書に記載されたとおりの手法により得られたものであったことを証明したことにならないことは明らかであるから、本願出願人の上記主張2は採用することができない。
 また、参考文献1において、細胞塊にOct4遺伝子が発現している細胞が含まれていたことが端的に記載されているとされた実験では、GOFマウスから得られた肝臓を低pH条件で処理し、定量PCRによって内在性のOct3/4の発現がES細胞におけるOct3/4発現の10%以上に達するものが存在することが示されている(参考文献1 Figure 3)。しかしながら、本願明細書に記載された実施例において、低pH条件での処理後にOct4発現を確認しているのは、GOFマウスから得られたCD45陽性細胞を対象とするものであって、参考文献1で使用された肝臓細胞とは異なっている。また、本願明細書に記載された実施例において、GOFマウスから得られた肝臓を低pH条件で処理した後に発現を確認しているのは、Oct4-GFPであって、参考文献1で確認した内在性のOct3/4とは異なっている。すなわち、参考文献1に記載された実験データは、本願明細書に記載された実施例と同じ方法及び条件によって得られたものとはいえず、当初明細書に記載されていた事項であったとすることはできない。そして、参考文献1に記載された実験データは、本願出願後に得られたものであることが明らかであるところ、サポート要件及び実施可能要件の判断にあたり、明細書等に記載されていなかった事項について、出願後に補充した実験結果を参酌することはできない。
 したがって、本願出願人の上記主張2は採用することができない。

 よって、請求項1-21に係る発明は、依然として、発明の詳細な説明に記載されたものではない。また、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-21に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
-----------------------------------------------------------------------------


サポート要件、実施可能要件ともに面白い論点が挙がっているので、審判も要チェックですね。



■欧州特許庁の維持年金は高いが、10ヶ国にバリデーションするならそうでもないという話


欧州特許庁への特許出願では日米とは異なり、特許が登録になる前から維持年金費用が発生します。
欧州特許庁へ支払う費用は下記の通りです。(分割出願にも親出願の出願日を基準として維持年金が発生します。)

 3年度:470 EUR
 4年度:585 EUR
 5年度:820 EUR
 6年度:1050 EUR
 7年度:1165 EUR
 8年度:1280 EUR
 9年度:1395 EUR
 10年度以降各年:1575 EUR

これが結構高いので、早く特許にして維持年金費用を節約するという進め方があります。
審査を早める方法としては、欧州移行時に規則161及び162(補正の機会)の通知を放棄する方法や、PACE(早期審査)を請求する方法などがあります。
規則161及び162の通知の放棄は移行時に書面にチェックを入れるだけなので追加費用はかかりません(SKの場合は)。
PACE
は特許庁費用がかからず、手続き的にも簡単なので代理人手数料は比較的安いです。

ただ、早く特許にしたとしてもバリデーション(各国で有効にする手続き)後に各国で年金がかかるので、結局どうなのっていう疑問があります。

ドイツ、イギリス、フランス3カ国(合計)や、それより少ない国数にバリデーションする場合は、欧州特許庁の方が高いようですので、維持年金的には早く特許にすると節約になるようです。
20年など極端に遅くに登録になる場合は除きます。)

では10ヶ国だとどうでしょうか。

ざっと計算したところ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、トルコ、ポーランド、ベルギー、スイス、オランダ(合計)の5年度年金は848 EUR7年度年金は1473 EUR10年度年金は2526 EURでした。

この感じだと、10ヶ国出す場合は早く審査を進めても維持年金のメリットはほぼなさそうです。

あと、分割出願についても、10ヶ国で考えた場合、維持年金的には早く分割したり早く審査を進めるメリットはなさそうです。



■デラウェア地裁のスターク判事、メルクのC型肝炎治療薬特許(597特許)を無効と判断


メルクC型肝炎治療薬特許侵害訴訟の件で、
デラウェア地裁のレオナルド スターク判事が、ギリアド254000万ドルの損害賠償を要求した陪審評決の判断を覆したそうです。

Gilead wins reversal of $2.54 billion hepatitis C drug patent verdict
https://www.reuters.com/article/us-gilead-sciences-lawsuit/gilead-wins-reversal-of-2-54-billion-hepatitis-c-drug-patent-verdict-idUSKCN1G10MH

Idenix
(メルクが買収)は2013年にUS7608597597特許)に基づいて、ギリアドのSovaldiHarvoniに対して特許侵害訴訟を提起しており、201612月に陪審評決はIdenix254000万ドルを受け取る権利があると判断していました。

今回レオナルド スターク判事は、Enablementを欠くため597特許は無効と判断しました。
597
特許のクレーム1は下記のとおりです。

1. A method for the treatment of a hepatitis C virus infection, comprising administering an effective amount of a purine or pyrimidine
β-D-2-methyl-ribofuranosyl nucleoside or a phosphate thereof, or a pharmaceutically acceptable salt or ester thereof.

クレームにはStructural Limitations(β-D-2'-methyl-ribofuranosyl nucleoside)とFunctional Limitationseffective amount)があると解釈できること、Structural Limitationsは数十億の化合物を含むこと、inoperable embodimentsが多数存在することなどが指摘されたようです。


■求人応募時にクレーム作成のレポート提出

 
パテントサロンに京都大学 iPS細胞研究所 知財グループの求人がでていました。

http://www.patentsalon.com/jobs/offer/kyoto-u_cira/index.html

たまにバイオや医薬系企業の求人があるので珍しいことではないのですが、よくよく見てみると、応募時にクレーム作成のレポートを提出することになっていて珍しいなと思いました。
しかも発明の内容が過去のニュースリリースです。これです。

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/140805-085017.html

これは面白いですね。SKでもどうでしょうか(笑)
と思ったらニュースリリースがない。。。

知財部でも特許事務所でも、中途採用だったら採用前にどんなクレームを作る人なのかを知っておきたいですよね。
過去に書いた特許公報を教えてもらうっていうのがよくあるパターンでしょうか。ただ、公報の内容はクライアントからもらった原稿や出願方針にもよるのと、その人が原稿作成にどの程度関わったかがわからないところがちょっと弱いかもですね。
応募後に会社(または事務所)で書いてもらうっていうパターンもあるらしいです。

試しにクレーム案を考えてブログ記事にしようかなーとも思ったのですが、それはまずそうなので思いとどまりました。
そこで、逆に拒絶理由を考えてみました。こんな感じです。

「iPS細胞に分化抵抗性iPS細胞があることは文献Xに記載されている。また、正常細胞と非正常細胞の遺伝子発現を比較して、非正常化のメカニズムを明らかにする技術は文献Yに記載されている。そうすると、分化抵抗性iPS細胞に関しても、文献Yを考慮して、遺伝子発現の比較をしてみることは容易に想到できる。」

ちょっとふわっとした内容になっていますが、クレームがあればもうちょっと具体化した内容になるかなと思います。あと効果はクレーム次第なところがあるので一旦無視しています。文献は探していません。



■レミケード米国特許、CAFCが無効と判断

 
CAFC(
米国連邦巡回区控訴裁判所J&Jの関節リウマチ薬「レミケード」の米国特許を無効とする判断を下したそうです。

・連邦高裁も特許無効の判断 J&J控訴棄却、「レミケード」打撃
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180125/mcb1801250500009-n1.htm

Johnson & Johnson Loses Remicade Patent in Appeal Ruling
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-23/johnson-johnson-loses-appeal-on-validity-of-remicade-patent


レミケードのバイオシミラーとして、ファイザーのInflectra等がすでに米国で販売されているそうです。
対象特許はUS6284471で、自明型二重特許(obviousness-type double patenting)により無効と判断されたようです。


■2017年を振り返って。 判決・仕事・講演・趣味など。

tokei_20171231.jpg


2017
年ももう終わりですね。
今年もブログを見てくださった皆様ありがとうございました。
今回は、2017年を振り返ってみたいと思います。
まずは2017年の注目判決から。


2017年の注目判決
結構インパクトのある判決がでました↓。特に最高裁の方。あんなに明確に書いてあっても均等侵害になっちゃうんですね。

3
24日:均等侵害が認められた「マキサカルシトール製法特許事件(最高裁)」
1
20日:延長された特許権の効力が後発品に及ばなかった「オキサリプラチン製剤特許事件(知財高裁大合議)」


今年は無効審判の審決も結構分析しました。以下のブログ記事とか。あとは講演で発表しました。

抗原も配列も限定のない改変抗体特許への無効審判で特許が維持された審決例
ハーセプチン用法特許の無効審判事例 ~後出しデータの参酌の可否~
用法用量特許の実施可能要件が明細書に記載のないコンピュータシミュレーションにより認められた審決例



2017年の注目バイオトピック
バイオ関係だとこういうのがありました。いろいろありましたね。

・抗PD-1抗体の特許侵害訴訟の和解(小野薬品+BMSとメルク)
・抗PCSK抗体の米国特許侵害訴訟(アムジェンとサノフィ)
CRISPR-Cas9のインターフェアレンス(ブロード研究所とカリフォルニア大)
・パテントダンス(アムジェンとサンド)
・スピンラザの日本承認(バイオジェン)
CAR-T細胞療法のFDA承認(ノバルティスのキムリア、ギリアドのイエスカルタ)
・抗がん剤のバイオシミラーの日本承認等(サンドのリツキサンBSの承認。日本化薬のハーセプチンBSの承認申請と中外製薬の訴訟提起。)



事務所のお仕事(SK特許業務法人)
今年も適度に仕事をしました。
内容としては、バイオ・医薬系の明細書作成、拒絶応答、内外・外内、調査、コメント・鑑定・審判・訴訟、セカンドオピニオン、特許情報収集・整理・分析など。
楽しい仕事ばかりでありがたいことです。
以下、備忘録です。

・明細書作成 ← 実施形態をどこまで書くかはなかなか判断が難しい。補正の根拠などのために書いておきたいけど、改良発明の不利益になるんじゃないかとか、均等で不利になるんじゃないかとか。
・拒絶応答 ← どこで検討やめるかも悩みどころ。みんなどうしてるのかな。
・内外・外内 ← 今年は外内ほとんどやってないので、来年はもう少しやろうかなぁ。
・調査 ← 安定。今年は新しい検索システムを試してみた。機能が豊富でいいんだけどちょっと高い。
・コメント・鑑定・審判・訴訟 ← 審査基準、判決、審決等のどの部分が後々使えるか、参考になるかわからない。全暗記はしなくていいので、たしかあそこにあったような・・・って感じで後から探せるようにしておくことが大事かな。
・セカンドオピニオン ← たまにあった。
・特許情報収集・整理・分析 ← こういう仕事もいい。勉強になるし。



講演など
講演や執筆もしました。

4
月:核酸医薬の論文が掲載された書籍(共著)が発刊。
6
月:医薬バイオEXPOでバイオ医薬特許の講演。
8
月:じほうさんからPharm Tech Japanの取材を受ける
9
月:製薬会社の団体からの依頼でバイオ医薬品の特許調査の講演。

来年は雑誌の連載記事を執筆する予定です。



その他
AIの話題も多い年でした。

特許業界で今のAIができること

ニュースまとめサイトつくってみました。

知財ニュース.com
医薬ニュース.com



趣味
バスケが楽しい1年でした。今年の目標にしていた3ポイントの確率向上に成功したのでよい年でした。やりすぎに注意。
海外ドラマも楽しい1年でした。1位はSUITS2位はワンス・アポン・ア・タイム、3位は12モンキーズかな。



抱負
来年はもうちょっと仕事と勉強をがんばろうかなぁと思います。
あと、たまには実家のある鹿児島に帰ろうと思います。

ではみなさん良いお年を。




tag : 2017年

■(アイセントレス錠の特許侵害訴訟)薬理データがないため実施可能要件/サポート要件違反で無効と判断された事例


判決紹介
・平成27()23087 特許権侵害差止等請求事件
・平成29126日判決言渡
・東京地方裁判所民事第40 佐藤達文 廣瀬孝 勝又来未子
・原告:塩野義製薬株式会社
・被告:MSD株式会社
・特許5207392
・発明の名称:抗ウイルス剤


コメント
特許5207392の特許権を有する原告(塩野義)が、被告(MSD)の「アイセントレス®400mg(ラルテグラビルカリウム)」が本件特許発明の技術的範囲に属するとして、譲渡等の差止め、廃棄を求めるとともに、損害賠償又は不当利得返還を請求した事案です。

ラルテグラビルカリウムの構造は下記の通りです。

ISENTRESS_20171228.jpg



本件特許の請求項1は下記のとおりです。

「【請求項1】
式(
I):
claim1-1_20171228.jpg 
(式中,
RA
は式:
claim1-2_20171228.jpg 
(式中,Z1及びZ3はそれぞれ独立して単結合又は炭素数16の直鎖状若しくは分枝状のアルキレン;Z2は単結合,-S--SO--NHSO2--O-又は-NHCO-;R1は置換されていてもよいフェニル,置換されていてもよい58員の芳香族複素環式基,置換されていてもよい炭素数36のシクロアルキル又は置換されていてもよいヘテロサイクル(「置換されていてもよい」の各置換基は,それぞれ独立して,アルキル,ハロアルキル,ハロゲンおよびアルコキシから選択される))で示される基;
Y
はヒドロキシ;
Z
は酸素原子;
RC
及びRDは一緒になって隣接する炭素原子と共に5員又は6員のヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成し,該環はベンゼン環との縮合環であってもよい;RC及びRDが形成する環は,式:-Z1-Z2-Z3-R1(式中,Z1Z2Z3及びR1は前記と同意義である)で示される基で置換されていてもよく;
さらに,RC及びRDが形成する環は,式:-Z1-Z2-Z3-R1(式中,Z1Z2Z3及びR1は前記と同意義である)で示される基で置換されている以外の位置で,アルキル,アルコキシ,アルコキシアルキル,ヒドロキシアルキル及びアルケニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい。)
で示される化合物,その製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する,インテグラーゼ阻害剤である医薬組成物。」




裁判所は、以下の通り、本件特許発明
は実施可能要件、サポート要件を満たさず、訂正発明も実施可能要件、サポート要件を満たさないと判断し、原告の請求を棄却しました。



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第4 当裁判所の判断
・・・
争点(1)()(実施可能要件違反)について
 
事案に鑑み,争点(1)()について判断する。

(1)
医薬の発明における実施可能要件
 
特許法3641号は,明細書の発明の詳細な説明の記載は「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したもの」でなければならないと定めるところ,この規定にいう「実施」とは,物の発明においては,当該発明にかかる物の生産,使用等をいうものであるから,実施可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が当該発明に係る物を生産し,使用することができる程度のものでなければならない。

 
そして,医薬の用途発明においては,一般に,物質名,化学構造等が示されることのみによっては,当該用途の有用性及びそのための当該医薬の有効量を予測することは困難であり,当該医薬を当該用途に使用することができないから,医薬の用途発明において実施可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明は,その医薬を製造することができるだけでなく,出願時の技術常識に照らして,医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載される必要がある

(2)
本件の検討
 
本件についてこれをみるに,本件発明1では,式(I)のRA-NHCO-(アミド結合)を有する構成(構成要件B)を有するものであるところ,そのようなRAを有する化合物で本件明細書に記載されているものは,「化合物C-71」(本件明細書214頁)のみである。そして,本件発明1はインテグラーゼ阻害剤(構成要件H)としてインテグラーゼ阻害活性を有するものとされているところ,「化合物C-71」がインテグラーゼ阻害活性を有することを示す具体的な薬理データ等は本件明細書に存在しないことについては,当事者間に争いがない。

(※BIOPATENTBLOG追記:
C-71_20171228.jpg 

 
したがって,本件明細書の記載は,医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載されたものではなく,その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないというべきであり,以下に判示するとおり,本件出願(平成14年(2002年)88日。なお,特許法412項は同法36条を引用していない。)当時の技術常識及び本件明細書の記載を参酌しても,本件特許化合物がインテグラーゼ阻害活性を有したと当業者が理解し得たということもできない。

(3)
原告の主張に対する判断
   
原告は,本件特許化合物として本件明細書に記載されているのが「化合物C-71」のみであり,その薬理データ等が記載されていないとしても,本件優先日当時の技術常識及び本件明細書の記載を参酌すれば,当業者は,本件特許化合物がインテグラーゼ阻害活性を有すると理解できたと主張する。
ア当業者による理解について
・・・

  本件特許化合物以外の本件発明化合物の薬理データについて
次に,原告は,本件明細書には本件特許化合物の薬理データの記載はないものの,本件特許化合物以外の本件発明化合物の薬理データは豊富に記載されており,特に「化合物C-71」の化学構造の一部が異なるにすぎない「
化合物C-26」(本件明細書200頁)のデータが存在することを指摘する

(※BIOPATENTBLOG追記:
C-26_20171228.jpg 

しかし,一般に,化合物の化学構造の類似性が非常に高い化合物であっても,特定の性質や物性が全く類似していない場合があり,この点はインテグラーゼ阻害剤の技術分野においても同様と解されるのであって(甲10,乙171ないし3,乙181ないし3参照),このことは本件出願当時の当業者にとっても技術常識であったというべきである。
 
この点,原告は,「化合物C-71」と「化合物C-26」の構造は非常に類似しており,両者の差異は,「化合物C-71」のRAがアミド型置換基であるのに対し,「化合物C-26」のRAが非置換の窒素原子を含む芳香族複素環である点のみである上,「化合物C-71」のアミドと「化合物C-26」の芳香族複素環(具体的には,134-オキサジアゾール)は,いずれも配位子として機能することが知られ,また,アミドと134-オキサジアゾールは,バイオアイソスターとして相互に置換可能であることも本件優先日当時の技術常識であったのであるから,当業者であれば,「化合物C-71」は「化合物C-26」と同様のインテグラーゼ阻害活性を有すると理解すると主張する。

しかし,「化合物C-71」のアミドと「化合物C-26」の芳香族複素環がいずれも配位子として機能することが知られ,また,一般的にアミドと134-オキサジアゾールは,バイオアイソスターとして相互に置換可能であるとしても,インテグラーゼ阻害剤において,RAのアミドと134-オキサジアゾールが配位子として機能し,それらが相互に置換可能であることが本件出願当時の技術常識であったと認めるに足りる証拠はない。かえって,前記のとおり,インテグラーゼ阻害活性を有する化合物の化学構造の類似性が非常に高い場合であっても,特定の性質や物性が全く類似していないことがあることや,本件出願当時は,末端に環構造を有する置換基の役割やインテグラーゼ阻害活性を示す置換基についての一般的な化学構造に関する技術常識が存在したとは認められないこと,本件特許化合物が有するアミド中の-NH-の部分は,水素結合可能な基であることなどを考慮すると,「化合物C-71」が「化合物C-26」と同様のインテグラーゼ阻害活性を有すると当業者が理解するためには,「化合物C-71」の薬理データが必要であるというべきである。

  出願審査段階における薬理試験結果について
 
原告は,本件特許化合物に含まれる4個の化合物については本件特許の出願審査の段階において薬理試験結果が提出され(甲12),また,12個の化合物については実際にインテグラーゼ阻害作用が確認されているとして(甲13),本件発明1が実施可能要件を有することは裏付けられていると主張する。
 
しかし,一般に明細書に薬理試験結果等が記載されており,その補充等のために出願後に意見書や薬理試験結果等を提出することが許される場合はあるとしても,当該明細書に薬理試験結果等の客観的な裏付けとなる記載が全くないような場合にまで,出願後に提出した薬理試験結果等を考慮することは,特許発明の内容を公開したことの代償として独占権を付与するという特許制度の趣旨に反するものであり,許されないというべきである(知的財産高等裁判所平成27年(行ケ)第10052号・同28331日判決参照)。
 
したがって,原告の上記主張は採用することができない。

・・・

争点(1)()(サポート要件違反)について
 
上記2で説示したところに照らせば,本件明細書の発明の詳細な説明に本件発明1が記載されているとはいえず,本件発明1に係る特許は特許法3661号の規定に違反してされたものというべきである。
 
したがって,本件発明1に係る特許は特許法12314号に基づき特許無効審判により無効にされるべきものである。

争点(1)()(本件訂正による無効理由の解消の有無)について
・・・
(3)
これに対し,原告は,本件訂正発明化合物1に必須の化学構造は,本件明細書に薬理データが記載された27個の化合物と極めて類似した構造を有しているから,当業者は本件訂正発明化合物1がインテグラーゼ阻害活性を示すことを容易に理解できるなどと主張する。
しかし,前記2(3)イに説示したとおり,一般に,化合物の化学構造の類似性が非常に高い化合物であっても,特定の性質や物性が全く類似していない場合があり,この点はインテグラーゼ阻害剤の技術分野においても同様と解されるのであって,このことは本件出願当時の当業者にとっても技術常識であったというべきである。
 
原告はこの点,原告の上記主張はドラッグデザインに基づくものであるなどとも指摘するところ(甲76参照),確かに,何らかの生物活性を有する複数の化合物が存在する場合,そのような活性を備える化合物における,部分的な保存された構造を見出そうとする手法は,医薬品の開発の方向性を定める一つの手法とはいえるものの,化合物に共通する部分構造以外の構造に,生物活性に必要な構造が存在する可能性もあるし,逆に,生物活性を喪失させるような構造も化合物に存在することがあり得るのであって,生物活性を有すると目される複数の化合物に共通して見られる部分構造がある化合物において単に存在することをもって,直ちに当該化合物も必然的にその生物活性を有するということはできないというべきである。
 
なお,原告は,本件訂正発明化合物1がインテグラーゼ阻害活性を示すとする薬理データ(甲121333)を引用するが,上記2(3)ウに説示したとおり,本件の判断を左右するものではない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。

結論
 
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
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徳重大輔


Author: 徳重大輔

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