■特許メモ

■PCT指定国は全指定で


PCT出願を行う際、特許事務所から出願人へ、指定国の「全指定」or「日本除外」の希望を聞かれることがあるかと思いますので、その点について書いてみます(全指定は、「日本を指定国に含む」や、「自己指定」とも言われます)。

PCT出願の指定国は、みなし全指定制度により、何もしないと「全指定」になります。

・特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/kisoku/kaisei/pct_kaisei.html

実務的にはほとんどの場合「全指定」で手続きを進めますが、「日本を指定除外」することもできます。

・特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tetuzuki/pct49b_kaisei_gaiyou.html

日本を指定除外するメリットはほとんどないので、通常は「全指定」で進めることがほとんどです。
ぐぐるとこの辺の議論をした記事がいくつか出てきます。

http://skiplaw.blog101.fc2.com/blog-entry-21.html
https://ameblo.jp/lunatic2009/entry-10369909097.html
https://ameblo.jp/acker/entry-11935591192.html

日本へのPCT国内移行の代理人費用が高い場合は、日本除外の方が費用的に有利という見方もあります。
SKは1万円なので全指定が有利です。他の事務所はわかりませんが、日本の手続きは簡単なのでそんなに高くは請求しないのではないでしょうか。期限管理はしないといけないですが。

また、バイオ、医薬分野では、優先権主張出願をして特許の存続期間を実質1年延ばすことが重要だったりしますが、そうすると、仮に「日本を指定除外」しても別途、国内優先権出願をすることになり、その分の代理人費用が発生すると思います。
そのため、この点からも「全指定」でOKということになります。


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tag : PCT出願

■欧州特許庁の維持年金は高いが、10ヶ国にバリデーションするならそうでもないという話


欧州特許庁への特許出願では日米とは異なり、特許が登録になる前から維持年金費用が発生します。
欧州特許庁へ支払う費用は下記の通りです。(分割出願にも親出願の出願日を基準として維持年金が発生します。)

 3年度:470 EUR
 4年度:585 EUR
 5年度:820 EUR
 6年度:1050 EUR
 7年度:1165 EUR
 8年度:1280 EUR
 9年度:1395 EUR
 10年度以降各年:1575 EUR

これが結構高いので、早く特許にして維持年金費用を節約するという進め方があります。
審査を早める方法としては、欧州移行時に規則161及び162(補正の機会)の通知を放棄する方法や、PACE(早期審査)を請求する方法などがあります。
規則161及び162の通知の放棄は移行時に書面にチェックを入れるだけなので追加費用はかかりません(SKの場合は)。
PACE
は特許庁費用がかからず、手続き的にも簡単なので代理人手数料は比較的安いです。

ただ、早く特許にしたとしてもバリデーション(各国で有効にする手続き)後に各国で年金がかかるので、結局どうなのっていう疑問があります。

ドイツ、イギリス、フランス3カ国(合計)や、それより少ない国数にバリデーションする場合は、欧州特許庁の方が高いようですので、維持年金的には早く特許にすると節約になるようです。
20年など極端に遅くに登録になる場合は除きます。)

では10ヶ国だとどうでしょうか。
ざっと計算したところ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、トルコ、ポーランド、ベルギー、スイス、オランダ(合計)の5年度年金は848 EUR7年度年金は1473 EUR10年度年金は2526 EURでした。
この感じだと、10ヶ国出す場合は早く審査を進めても維持年金のメリットはほぼなさそうです。

■特許業界で今のAIができること

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最近、特許業界でAI(人工知能)がよく話題になっています。
先日の特許情報フェアでもAI関連のセミナーやブースがかなり増えていたように思います。
一昨日はこんなニュースも報道されていました。

・「AIで弁理士が失業」に異議 「そんなに単純な仕事じゃない」 日本弁理士会の梶副会長
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171116-00000074-zdn_n-sci

特許業界で「失業」は増えるのでしょうか。
普通に考えるとAIで特許実務が効率化して、1人が裁ける仕事量が増えて、その分人はいらなくなるかと。そうすると程度問題はありますがAIの影響で失業や業界人口減ってことはあり得るんだと思います。
記事中の92.1%っていう数字は何年後の話をしているかによるのかなと思います。

現時点ではAIができることは限られているので、特許調査への利用を足がかりにちょっとずつって感じなんだろうと思います。
AI
を特許調査に利用したシステムとしてはこういうものがあります。


FRONTEOKIBIT Patent Explorer
特許情報フェアのブースでプレゼンを聞きました。
http://www.fronteo.com/corporate/news/uploadfile/docs/20171020.pdf

> KIBIT Patent Explorerは見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料等)の内容を“教師データ”として人工知能KIBITに学ばせ、少量の教師データをもとに膨大なデータを解析し、短時間でスコアリング(点数付け)による文書の抽出ができます。

概念検索みたいな感じで、検索式を作らなくてもAIが関連特許をピックアップしてくれて、さらに段落ごとの関連性評価も表示してくれるようです。

検索式を自分で作りなれている人には参考程度の利用に限られるかもしれませんが、そうじゃない人には結構役に立つかもしれません。とはいっても、普通の検索システムに比べて費用がかなり高いのでなかなか導入できるものではないのと、おそらく精度もこれからって感じなんだと思います。

ブースのプレゼンでは、結局のところ、KIBITがした関連性の評価がどの程度の精度なのかがわかりませんでした。
KIBIT
がピックアップした特許文献の中に拒絶理由通知書で引用されなかったが弁理士が引例になってもおかしくないと判断したものが含まれていました、と言っていましたが、そんなことは概念検索でも普通にありえそうなので、なんとも判断できないなと思いました。
拒絶理由通知書の引例よりも強い引例が見つかりましたって言われたら、ぜひ詳細を聞いてみたいと思いますが。
もしくは、調査担当者が検索式を作って調べた結果と、KIBITで一般の人が調べた結果を比べて、同じような結果がでた(検索時間はKIBITの方が短い)、みたいな事例をいくつかだしていくとよいのかもしれません。さらに、AIを使わない概念検索を比較例にしてもいいかもしれません。(そこまでの精度があればですが。)


■アイピーファインのDeskbee
こちらも特許情報フェアでプレゼンを聞きました。

http://www.ipfine.com/deskbee/

こちらは事前に準備した多数の特許文献データをシステムに読ませると、AIが関連性評価をしてくれるというもののようです。
このときに、ユーザーが評価した結果(特許Aは関連、特許Bはノイズみたいな)を教師データとしてAIに学習させることがきるそうです。この点はDeskbeeの強みのようです。KIBITのプレゼンではありませんでした。
Deskbee
は、侵害予防調査でSDIで上がってきた特許を評価するのに使えるそうです。確かに、事前に評価結果を準備することを考えると、この特定用途が向いているように思います。ちなみに、KIBITのプレゼンは先行技術調査・無効資料調査を対象としていました。
人工知能はGoogle社が提供するTensorFlowを使っているとのこと。


AI
調査システムは今導入するにはハードルが高すぎますが、将来、費用が下がって、精度がよいことがわかれば使ってみたいですね。
特許業界でAIができることはもっとあると思いますので、どんどん開発してもらいたいと思います。
失業問題の方はベーシックインカムで。




■弁理士を主人公とした漫画「閃きの番人」

 
弁理士会のホームページに弁理士を主人公とした漫画「閃きの番人」がアップされていました。
弁理士及び弁理士の業務内容を社会人だけでなく学生も含めて幅広く知ってもらうべく、弁理士を主人公とした漫画「閃きの番人」を弁理士会ホームページ上で公開したそうです。

・閃きの番人
http://www.jpaa.or.jp/comic/
http://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/10/comic_keeper-of-inspiration_file001.pdf

弁理士業務を漫画にするのってなかなか難しいと思いますが、読みやすくて絵もきれいでクオリティ高いですね。普通にドラマ化とかできそうな(一般の人は新規性・進歩性の概念を理解するのに苦労しそうですが)。
出願・権利化じゃなく、無効審判と侵害訴訟を題材としているのも漫画向きなんだと思います。
1
話が始まったばかりで、続きが楽しみです。

あと、8ページの最後の「そこはちょっと誤解があるんだよなぁ・・・」の後に続くアナザーストーリーを妄想してみました。

ジョージ
 「じつは口頭審理の後に上申書で反論したんだよ 

眞理
 「なぜそんなまわりくどいことをしたんですか (´□`;)

ジョージ
 「口頭審理で反論すると競合他社(傍聴人)に筒抜けだろ。上申書にすれば他社が気づくのに時間がかかるのだ 

眞理
 「え!そんな手があるんですか!?

ジョージ
 「いやいや、冗談。リスク高いでしょ。じつはアメリカの特許権者から口頭審理までに指示が来なくてね。自信ありげに振る舞うので精一杯だったよ 


■siRNA、miRNA関連特許の登録件数増加中


siRNAmiRNA関連特許の登録件数の推移をざっと調べてみました。

20160331_kakusan.png

siRNAmiRNA関連の日本と米国特許の登録件数(該当年に登録された件数)の推移です。
「登録:20002015年」×「タイトル・クレーム・要約」×「キーワード」で検索しました。


ざっくりと検索したので漏れがありますが、最近は増加傾向にあるようです。
この分野の研究成果が蓄積してきたことにより、(将来の製品化を見据えて)特許を取得する意義が高まってきているのか、それとも、単にペンディングになってた案件の審査が進み出しただけなのか・・・。
あとこの分野では、核酸医薬の開発に関するガイドラインの策定に向けた研究が進んでいるそうで、GL整備による開発促進が期待されています。



■核酸医薬特許に関する審査ハンドブックまとめ


【Q
特許庁のウェブサイトに特許・実用新案審査ハンドブックというものがありました。
 結構な量ですが、核酸医薬の特許について解説している箇所はありますか?

【A】
あります。 審査ハンドブックは、審査業務の手続的事項や留意事項がまとめられたものです。 また、附属書に、審査基準の考え方を理解する上で有用な事例、裁判例、特定技術分野(核酸や抗体等)への適用例が記載されています。
核酸医薬の特許について解説している箇所を下記リンク先にまとめましたのでどうぞ。

・核酸医薬特許に関する審査ハンドブックまとめ


■休みの日の特許事務所


今日は土曜日でしたが、昼頃に会社(特許事務所)に行きました。 私より先に来て仕事をしている者が1名、後から来て夜9時を過ぎても残っている者が1名いました。

私の勤務している会社は完全歩合制なので、休日でも仕事をすればそのまま給与に反映されます。 休日に仕事するかどうかは個人の自由です(期限に追われている場合は別です)。 だいたいいるのは技術者ですが、たまに事務の人もいたりします。 土日のどっちかは誰かが働いてるって感じだと思います。

私は今日は仕事ではないのですが、2/25に講演するセミナーの資料を作るために会社に行きました。 自宅でやってもよかったのですが、休みの日の会社って集中しやすいので。 今日までで半分くらいは作り終わりました。 あと、ついでに判決いくつか読んだのでこのあとアップします。 セミナーもブログも会社の業務命令ではないですが(推奨はされています)、面白そうなのでやっています。


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徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
業界動向や知財判決などの情報をアップしていきます。

SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

お問い合わせは、
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