■2011-04-

■ganitumabの日本P3開始(転移性膵癌患者を対象)


医薬メモ: 武田薬品工業()Millennium Pharmaceuticals, Inc.(武田薬品の100%子会社)は、癌治療薬AMG 479(一般名:ganitumab)について、Amgen Inc.がグローバルに実施する臨床第3相試験への参加を決定。 武田バイオ開発センター()(武田薬品の100%子会社)が日本において本試験を開始。 グローバルP3は、約825例の転移性膵癌患者を対象とし、本薬またはプラセボにゲムシタビンを併用する二重盲検比較試験で、主要評価項目は全生存期間(2011.04.14ニュースリリースより) 

♪ AMG 479について: 抗IGF-1Rモノクローナル抗体。IGF-1又はIGF-2IGF-1Rに結合するのを阻害し、腫瘍の発育および浸潤を抑制する。抗IGF-1R抗体関連特許はいろいろな企業が出願又は権利化している。アムジェンの特許はJP4372825US 7700742等。 

♪ IGF-1Rについて: Insulin-like growth factor 1 receptor。受容体型チロシンキナーゼ。

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■偏光フィルム 平成17年(行ケ)第10042号 特許取消決定取消請求事件


コメント: 有名な大合議判決。パラメータ発明に関する特許において、後出しの実験成績証明書によってサポート要件を満たすことが許されなかった事例。
明細書に記載されていたのは実施例2点、比較例2点で、実験成績証明書で追加したのは実験8点、比較実験2点。 
☆☆☆

■バイオポリマーでRNA医薬をドラッグデリバリー


医薬メモ: 武田薬品とSamyang CorporationはRNAi医薬のDDSの技術構築を目的とした共同研究契約を締結(2011.04.13ニュースリリースより)。 

Samyang Corporationはバイオポリマー技術を有する企業IPDLで出願人検索すると1件ヒット(特許4570776サミアン・コーポレーション)。 特許4570776には、両親媒性ポリエステル-ポリカチオン共重合体および両親媒性ポリエステル-糖共重合体を含む、生物分解性の混合重合体ミセルを用いて、宿主細胞に選択された核酸を輸送するための組成物および方法に関連する技術が記載されている 例えばRNA医薬のドラッグデリバリーシステム(DDS)として用いられる。 なおUS登録はSamyangで53件ヒット。

■換気扇フィルター 平成22(行ケ)10075 審決取消請求事件


コメント: 「審決には本件各発明の解決課題を正確に認定していない点で誤りがあり、また、誤った解決課題を前提とした上で本件各発明が容易想到であるとした点において誤りがある」として進歩性なしの無効審決が取り消された。 課題の認定は慎重に。 「課題の設定が新規」で進歩性を主張するときに参考になる事例。 

■TTPで癌細胞ターゲティング


医薬メモ: 米国エーザイ・インクの子会社であるMorphotek, Inc.がTransMolecular, Inc.のプラットフォーム技術を取得(2011.04.05ニュースリリースより)。 

TransMolecular, Inc.はTTP(Tumor Targeting Peptide)技術を有する企業。 癌細胞内に薬剤を取り込ませるためのキャリアとして、クロロトキシン(chlorotoxin)(合成型:TM-601)を用いる、という技術らしい(特表2011-500601) IPDLで出願人検索すると4件ヒット(登録なし)。 全てクロロトキシン関連。 なおUS登録は1件ヒット。 IPDLでクロロトキシンでクレーム検索すると、クロロトキシンをキャリアとして使用している公報が上記を含め5件ヒット(登録なし。うち1件はUAB Research Foundation)。

■アリセプト期間延長 平成21年(行ケ)第10423号,第10424号,第10425号,第10426号,第10427号,第10428号,第10429号 審決取消請求事件


■コメント: アリセプト®(塩酸ドネペジル)の期間延長に関する判決。 延長登録の理由となった処分の対象となった物について特定された用途について、「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」とした延長登録が平成131219日になされている(21112日の期間延長)。 そのような中、処分の対象となった物について特定された用途について、「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制(但し,軽度及び中程度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を除く。)」とした延長登録が認められるかが問われた。 

争点は、「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」と、「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制(ただし,軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を除く。)」(実質的には、「高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」)とが実質的に同一であるか否かであり、結論は否。被告の勝利。☆☆

■スーパーオキサイドアニオン分解剤 平成22(行ケ)10256 審決取消請求事件


コメント: 下流の用途が公知なとき、上流のメカニズム用途発明は新規性があるか、が問われた事例。
本件では、「甲1には,白金微粉末がスーパーオキサイドアニオンを分解する作用が明示的形式的に記載されていないものの,従来技術(甲1)の下においても,・・・スーパーオキサイドアニオンが分解されるという属性に基づく方法が利用されたものと合理的に理解される(甲24参照)」、「・・・従来技術と同一又は重複する方法(用途)にすぎない」として新規性が否定された。 ☆☆☆☆

■トシリズマブの次世代製品の日本P1開始


医薬メモ: トシリズマブ(tocilizumab、アクテムラ、ヒト化抗IL-6受容体抗体、関節リウマチ薬)の次世代製品「SA237」の国内Phase1が始まった(中外製薬、2010.12)。SA237はトシリズマブと同様の薬効と安全性を持ちながら、トシリズマブと比較して「血漿中滞留性」が改善されている。

♪ IL-6について: サイトカインに分類される蛋白質。T細胞やB細胞、線維芽細胞、単球、内皮細胞、メサンギウム細胞などの様々な細胞により産生される。

♪ IL-6受容体について: 膜結合型と可溶性の2種類が存在する。IL-6受容体とIL-6が結合すると、IL-6受容体はgp130と会合し、細胞内にシグナルが伝わる。

♪ トシリズマブについて: IL-6受容体と結合しシグナル伝達を阻害する。膜結合型IL-6受容体と可溶性IL-6受容体のいずれとも結合できる。CDRはマウス型でその他はヒトIgG1

♪ SA237について: トシリズマブのアミノ酸配列改変型抗体。トシリズマブ等の通常の抗体は1回しか抗原と結合できないが、SA237はpH依存的にIL-6受容体から解離した後、再度別のIL-6受容体と結合することができることに特徴がある。SA237に用いた改変技術は他の抗体にも応用できるらしい。

♪ SA237のpH依存性について: SA237とIL-6受容体は、血漿中の中性条件下(pH 7.4)では、SA237内の中性のHis残基を介して強く結合する。一方で、エンドソーム内の酸性条件下(pH 6.0)では、上記His残基がプロトン化することにより結合力が低下し、SA237がIL-6受容体から解離する。

♪ SA237のリサイクルについて: ①血漿中(pH7.4)でSA237と可溶性IL-6受容体が結合する、②結合状態でエンドソーム(pH 6.0)に取り込まれる、③エンドソーム内でSA237と可溶性IL-6受容体が解離する、④可溶性IL-6受容体はリソソームにより分解される、⑤SA237はFcRnによって血漿中にリサイクルされる、というメカニズム。Nat Biotechnol. 2010 Nov;28(11):1203-7. Epub 2010 Oct 17.

♪ 関連特許出願: 再表2009/041643、再表2009/041621等いくつかヒット。

■パン用の米粉: 平成22(行ケ)10313 審決取消請求事件


コメント: 「パンを製造する用途が明示的に記載されている」と判断するにあたり、甲1表2の「胴つきの米粉は「+」」の記載が考慮された。 ☆☆

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裁判所: 「
また,出願に係る発明は,特定の 用途を明示しているのに対して,引用発明は,出願に係る発明と同一の構成からなるにもかかわらず,当該用途に係る記載・開示がないような場合においては, 出願に係る発明の新規性が肯定される余地はある。しかし,そのような場合であっても,出願に係る発明と対比するために認定された引用発明自体に,従前の技 術以上の作用効果があることは,要件とされるものではない

…むしろ,甲1の表2によれば,作製されたパンの外観及び食味について,小麦澱粉が「+++」,ロール製粉の米粉が「― ―」であるのに対し,胴つきの米粉は「+」とされている。ま た,甲1の研究において使用された米粉は特定されているから,表2の「胴つき製粉」の米粉,「ロール製粉」の米粉は,図3の「胴搗方式製粉による米粉」, 「ロール方式製粉による米粉」と同様のものであり,それぞれ図3に示されたのと同様の粒度分布を有するものと推認される。そうすると,図3と表2によれ ば,本件発明1の数値範囲に含まれる粒度の米粉(「胴つき製粉」の米粉)によって,本件発明1とは異なる粒度の米粉(「ロール製粉」の米粉)よりも外観,食味において優れたパンが製造されたことが示されていると認定できる。

以上によれば,甲1には,本件発明1に定められた数値範囲内の粒度の米粉を用いてパンを製造する用途が明示的に記載されており,本件発明1に定められた数値範囲内の粒度のパン用の米粉の発明が記載されているといえる。したがって,甲1発明は,本件発明1の新規性を判断する上で,引用発明としての適格性を欠くと解する余地はない。

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プロフィール

徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
業界動向や知財判決などの情報をアップしていきます。

SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

お問い合わせはbiopatentblog@gmail.com(@は半角)へお願いします。

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