■2011-11-

■抗血小板用医薬組成物の製造方法: 平成21年(行ケ)第10170号審決取消請求事件


コメント: スクリーニング方法のみに特徴のある発明において、クレームを「スクリーニング工程 × 生産方法。」形式で記載していて実施可能要件違反と判断された例。

裁判所は、「検出される化合物が共通して持つ化学構造や物性など「物」の観点からの説明はなく,このような実施例の記載から他にいかなる化合物が検出されるか当業者が理解することはできない。」、また、「「製造する物」は有効成分である化合物と製剤化に必要な汎用の成分とからなる抗血小板用医薬組成物であるから,当業者は明細書の記載自体から抗血小板用医薬組成物における有効成分となるものを化合物自体として特定して把握することができること,いいかえれば,明細書の記載自体からある化学構造の化合物を含む組成物が本願発明に該当するかどうかを認識・判断することができなければならないというべきである。」と述べている。なお、原告の主張にもあるように、上記のようなクレームが登録になっている例は複数存在する。 ☆

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■リーチスルークレームの比較研究2001


特許メモ。スクリーニングで得られる物クレーム、いわゆる"リーチ・スルー"クレームに関しては、特許庁が公表している「"リーチ・スルー"クレームに関する比較研究報告書」が参考になる。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai3/1312-027_19kai.htm

以下、一部抜粋。2001年公表。 


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3.質問事項
事例4
請求の範囲:
1. 配列番号:4の配列からなる、単離精製された受容体。
2. 請求項1の受容体のアゴニストを同定するための方法であって:
  候補化合物を用意し、
  当該受容体を表面上に発現する細胞に、上記候補化合物を接触させ、
  上記候補化合物が請求項1の受容体を活性化するか否かを判定すること
を含む方法であり、請求項1に記載の受容体を活性化する化合物が当該受容体のアゴニストである、上記方法。
3. 請求項2に記載の方法により同定された、単離精製受容体のアゴニスト。
4. (EPO) 肥満を処置する医薬を製造するための、請求項2の方法により同定された受容体のアゴニストの使用。
(USPTO) 肥満を処置する方法であって、必要な患者に治療上有効な量の、請求項2の方法により同定された受容体のアゴニストを投与する方法。
(JPO) 請求項2に記載の方法により同定された受容体のアゴニストを有効成分とする、肥満を処置するための組成物。
5. (EPO) 肥満を処置する医薬を製造するための、化合物Xの使用。
(USPTO) 肥満を処置する方法であって、必要な患者に治療上有効な量の化合物Xを投与する方法。
(JPO) 化合物Xを有効成分とする、肥満を処置するための組成物。
6. 請求項1に記載の受容体を認識する、モノクローナル抗体。
・・・。
5.結論
三庁は以下の見解を共有する:
・・・。
3. 受容体の機能(例えば特定疾患と関連していること)が開示されていると否とにかかわらず、下記のクレーム:
(3)上記スクリーニング方法により発見されたアゴニスト(活性化化合物)全般
(4)上記アゴニスト(活性化化合物)全般を用いた医薬組成物等
は、クレーム全般について、実施可能(enablement)要件及びsupport要件を満たさない。これらの化合物は機能によってのみ定義された一群の化合物を包含しているが、この一群に含まれる化合物の構造的特徴と上記機能の相関が明示されていない。このような関係が出願時の明細書に記載されておらず、または当業者が容易に入手し得る情報に基づいても認識されない場合には、当業者は構造的な定義がなされていない化合物をどのように製造し使用するか理解できない。クレームされたアッセイ方法を用いることにより、目的の化合物を同定し得たことは、この欠陥を治癒しない。なぜなら、(出願に具体的に記載されたもの以外の)特定の化合物がクレームされた範囲に含まれるかどうか、事前に知り得ないからである。クレームされた活性を有するかどうかについて、特定されていない化合物を無作為にスクリーニングすることは、過度の実験(過度の負担)を要する。
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徳重大輔


Author: 徳重大輔

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