■2012-09-

■引例実施例が2回投与だとしても、引例には単回投与が開示されている/平成23年(行ケ)第10352号審決取消請求事件


平成24828日判決言渡
原告: ファイザー・プロダクツ・インク
被告: 特許庁長官
本願: 特願2003-509957
請求項1: マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の感染に起因する,ヒト以外の動物における疾患または障害を治療または予防する方法であって,310日齢の動物に不活化されたマイコプラズマ・ハイオニューモニエ ワクチンの有効量を単回投与することを含む,前記方法。

コメント: 原告は「引例は単回投与について開示するものではない」と主張したが、認められなかった例。 裁判所の判断は下記の通り。 拒絶審決維持。 進歩性無し。 ☆

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裁判所: 「(2) 判断
  上記(1)ア 認定の事実によれば,引用例には,「少なくとも請求の範囲第1項に記載のバクテリンの1回用量をブタに投与してマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染に対してブタを免疫することを含む免疫方法」,「この発明は,マイコプラズマ・ハイオニューモニエによる感染に対してブタを免疫する方法であって,マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染に対してブタを免疫するために,バクテリンの少なくとも1回用量をブタに投与することを含む免疫方法をも提供する」と記載されている。上記記載の通常の意味からすれば,引用例記載の発明は,マイコプラズマ・ハイオニューモニエによる感染に対してブタを免疫する方法を提供するものであって,その方法として,バクテリンを単回投与する免疫方法を含むものと理解される。
一方,引用例には,「このバクテリンは,好ましくは2回ブタに投与される。その1回はブタの誕生後約1週間,もう1回は約3週間である」との記載があり,単回投与の実施例の記載はなく,実施例である例4には,1週齢と3週齢との2回,不括化ワクチンをブタに投与する免疫方法のみが開示されているが,好ましい実施例として2回投与の免疫方法が記載されているからといって,それだけで,当該免疫方法のみが引用例に開示されているということはできない
したがって,引用例に,少なくとも,バクテリンの1回用量をブタに投与する免疫方法が記載されている旨を認定した審決に誤りはないというべきである。」
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なお、本願明細書をざっと見たところ、プラセボとの比較はあるが、「単回投与」に対する直接的な比較例はない。

また、甲17には「ヒトが免疫を得るためには複数回の摂取が必要である」との記載があり、原告は「複数回のワクチン投与が必要であることが、技術常識であったと言える」と主張したが、その点については下記のように判断された。

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裁判所: 「() 上記①の主張について
  上記(1)イ,ウ によれば,甲17には,ヒトが,免疫を得るためには複数回の接種を行う必要があること,甲18には,ヒト,ブタなどの脊椎動物の免疫系は,微生物等の非自己抗原を精密かつ特異的に識別し排除すべく進化したことが,それぞれ示されているといえる。一方,上記(1)エ,オ によれば,本願の優先日当時においても,ブタやヒトについて,単回投与で有効なワクチンもあるとの知見も示されているといえる。
そうすると,免疫を付与し維持するために追加接種が有効であるという一般論としての技術常識が存在するとしても,それが,引用例の記載の「1回用量をブタに投与」を除外して,実施例に記載された2回投与の発明しか把握できないほどの絶対的な知見とは認められない。特に,甲8・乙1は,引用例公開前に発行された論文であるから(上記(1)エ ),引用例において,1回用量を投与することを実質的に除外したとか,形式的に記載したのみであるということはできない。」
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自分に都合の良い文献を使って特許性を主張した場合、都合の悪い文献を使って反論されることがある。


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■前立腺がん治療薬のXtandiをFDAが承認(経口剤)


医薬ニュースを紹介します。

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Medivation社が前立腺がん治療薬のXtandiを開発して、FDA(米国食品医薬品局)が認可しました。
既存薬と比較して約5ヶ月生存期間が延びるそうです(18.4ヶ月)。
アステラス製薬がパートナーシップを結んでいます。
点滴剤ではなく経口剤である点が特徴です。
この新薬開発で、Medivation社の株価が上昇しているそうです。(提供:宍戸知行弁理士)

New York Times (August 31, 2012)
http://www.nytimes.com/2012/09/01/business/fda-approves-prostate-cancer-drug.html?_r=1
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アステラス製薬のニュースリリースによれば、2012年9月中旬に発売予定。 また、今回の承認取得に伴い、アステラス製薬はマイルストンとして30百万ドルをメディベーション社に支払うそうです。


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徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
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