■2014-12-

■抗体特許のwritten description requirementが争われた事例 (AbbVie v. Janssen, 2014)


<判決紹介>

コメント
機能的に限定されたAbbVie社の抗体クレームがwritten description requirementを満たさず無効と判断されたCAFC判決。 ☆☆☆☆

AbbVie
社の特許はUS6914128US7504485 (128特許の分割)
対象クレームはKoff(又はKd)値等で限定されていて、実施例は「親抗体Joe-9の変異体を作ったら、中和能力やKoff等に優れた抗体が得られた」というもの。
変異体の特許は狭くなりやすいし、実施例を見た感じではこの結果もしょうがないかなぁという印象。

リンク
No. 2013-1338, -1346 (July 1, 2014)
US6914128
US7504485

抜粋
AbbVie Deutschland GmbH v. Janssen Biotech, Inc., No. 2013-1338, -1346 (Fed. Cir. 7/1/2014)

    The claims of the ’128 and ’485 patents at issue in these appeals define the claimed antibodies by their function, i.e., IL-12 binding and neutralizing characteristics, rather than by structure. Claim 29 of the ’128 patent is representative and reads as follows:
            29. A neutralizing isolated human antibody, or antigen-binding portion thereof that binds to human IL-12 and disassociates from human IL-12 with a koff rate constant of 1x10-2 s-1 or less, as de-termined by surface plasmon resonance.
...


    Functionally defined genus claims can be inherently vulnerable to invalidity challenge for lack of written description support, especially in technology fields that are highly unpredictable, where it is difficult to establish a correlation between structure
and function for the whole genus or to predict what would be covered by the functionally claimed genus. Ariad, 598 F.3d at 1351 (“[T]he level of detail required to satisfy the written description requirement varies depending on the nature and scope of the claims and on the complexity and predictability of the relevant technology.”); see also Centocor Ortho Biotech, Inc. v. Abbott Labs., 636 F.3d 1341, 1352 (Fed. Cir. 2011) (noting the technical challenges in developing fully hu-man antibodies of a known human protein). It is true that functionally defined claims can meet the written description requirement if a reasonable structure-function correlation is established, whether by the inventor as described in the specification or known in the art at the time of the filing date. Enzo Biochem, Inc. v. Gen-Probe Inc., 323 F.3d 956, 964 (Fed. Cir. 2002). However, the record here does not indicate such an established correlation. Instead, AbbVie used a trial and error approach to modify individual amino acids in order to improve the IL-12 binding affinity. Moreover, the ’128 and ’485 patents do not describe any common structural features of the claimed antibodies. The asserted claims attempt to claim every fully human IL-12 antibody that would achieve a desired result, i.e., high binding affinity and neutralizing activity, and cover an antibody as different as Stelara, whereas the patents do not describe representative examples to support the full scope of the claims.
    We therefore conclude that substantial evidence supports the jury verdict of invalidity for lack of an adequate written description of the claimed genus and affirm the district court’s denial of JMOL on that issue6. Consequently, we need not address AbbVie’s argument regarding enablement.

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■課題が新規の主張が否定された事例


<判決紹介>

コメント:
課題が新規であるとして進歩性を主張すると、自明の課題であると言われてしまうことがある。 拒絶審決維持。 ☆


判決抜粋:
平成
26(行ケ)10059 審決取消請求事件
平成261218日判決言渡、知的財産高等裁判所第3
原告: ユーロ-セルティック エス..
被告: 特許庁長官
出願: 特願2004-129590
請求項1
プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ中に,ヨードホールを含有する乾燥リポソーム製薬組成物を含む,保存安定性を備えたパッケージ。


3 原告の主張
・・・。
2
取消事由2(相違点(A)に係る容易想到性の判断の誤り)
  
審決は,引用例1発明に引用例2の知見を勘案して,相違点(A)に係る本願発明の構成とすることは,当業者にとって容易想到である旨判断したが,この審決の判断は,事後的な分析によるものであり,誤りである。
  
以下の点によれば,本願発明に係るヨードホール含有乾燥リポソーム製薬組成物を「プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ中に」保存するものとすることに想到することは,当業者であっても困難である。
  (1)
引用例1には,ヨードホール含有乾燥リポソーム製薬組成物を長期間にわたり保存することに関しては示唆すらされておらず,ましてや,「プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ」に入れて保存することに関する示唆もない。すなわち,引用例1には,本願発明の解決課題及び解決手段について,開示も示唆もされていない。
  (2)
引用例2によれば,ポビドンヨード粉末を,例えば遮光・色付きではない合成樹脂容器に保存し得るといった技術事項については把握し得たとしても,本願発明の「プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ」に対する反応性については開示も示唆もされていないし,特に,「紙又は厚紙製のパッケージ」は,引用例2に記載された合成樹脂に含まれず,引用例2において開示も示唆も全くされていないから,引用例2に基づいて,ガラス製ではない「プラスチック材料,紙又は厚紙製のパッケージ」に想到するように動機付けられることはない。
・・・。

5 当裁判所の判断
 
当裁判所は,原告の主張は理由がないと判断する。その理由は次のとおりである。
・・・。
(4)
相違点(A)に係る構成の容易想到性について
  ア 前記(2)の技術常識を考慮すれば,引用例1発明のポビドンヨードを含有する凍結乾燥させたリポソーム固体は,医薬製剤として(使用時に再構築して)使用されるものである(【0024】)以上,長期間安定に保存できる容器に入れることは自明の課題であり,その容器の材質として,医薬品の容器として通常用いられているガラス又はプラスチック等の材質の中から長期間安定に保存できるものを当業者が選択するものということができる。
・・・。
(5)
原告の主張について
  ア 原告は,引用例1には,本願発明の解決課題及び解決手段について開示も示唆もなく,引用例2には「紙又は厚紙製のパッケージ」の開示も示唆もないと主張する(前記第32(1)及び(2))
 
しかるに,引用例1発明のリポソーム固体を長期保存の可能な容器に保存することが当業者にとって自明の課題であること,その解決手段として引用例2の記載を踏まえて相違点(A)の構成に至ることに当業者が容易に想到し得たことは,いずれも前記(4)のとおりである。また,「紙又は厚紙製のパッケージ」に関する本願発明の構成を引用例1発明との相違点として認定しないことが誤りではない以上,引用例2にこの点に関する開示や示唆が存在しない旨の原告の主張は失当である。


tag : 課題

■めずらしい判決


<判決紹介>

コメント:
めずらしい内容の判決がありました。とりあえず原告主張の取消事由をどうぞ。


判決抜粋:
平成
26()10102 審決取消請求事件

3 原告主張の取消事由
審決には,以下のとおり,審決に至るまでの手続に違法な点があるから,取り消されるべきである。

1
取消事由1(拒絶理由通知に不明な用語を用いた手続違背)
(1)
特許庁は,一般の国民が特許等の出願をしたのに対し,拒絶理由通知を出す場合には,手続補正書を提出できるように,拒絶の理由を一般の国民に分かりやすく記載する義務がある。しかし,原告に対する拒絶理由通知には,以下のとおり,内容が不明の用語が記載されており,特許庁は,その意味が分かるように記載しなかった。

ア 拒絶理由通知(2)及び(3)には,「本願請求項1-5に係る発明のカテゴリーが,全て不明瞭である。したがって、本願請求項1-5に係る発明は明確でない。」,「・・本願請求項1-5に係る発明のカテゴリーを「方法」とみなした。」との記載があるが,「カテゴリー」の意味が不明である。

イ 拒絶理由通知(2)及び(3)には,「本願請求項4が,独立請求項なのか請求項12又は3の従属項なのか明瞭でない結果,不明確である。・・本願請求項5が,独立請求項なのか請求項1又は2の従属項なのか明瞭でない結果、不明確である。」との記載があるが,「独立請求項」や「従属項」の意味が不明である。

ウ 拒絶理由通知(1)には,「なお,「物」に関する発明とした場合,請求項が,いわゆる「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」にならないように注意されたい。」との記載があるが,「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」の意味が不明である。

(2)
被告は,テキストやインターネットをみれば用語の意味が分かると主張するが,一般国民の中にはテキストを見ておらず,インターネットも使用していない人がいるのであり,特許庁は,出願人が,テキストやインターネットを見なくても,拒絶理由通知書の記載内容だけで理解することができるよう,説明する義務がある。なお,被告は,「独立請求項」の意味について,拒絶理由通知(1)において具体的に指摘しているとも主張するが,同通知書には,「独立請求項」や「従属請求項」との用語が用いられておらず,原告は,同通知書の記載内容がこれらの用語を意味していると理解することはできなかった。

2
取消事由2(補正の仕方の説明義務違反)
特許庁は,原告に対し,抽象的ではなく,具体的に補正の仕方を説明する義務がある。しかし,特許庁は,原告に対し,以下のとおり,手続補正書の提出を指示せず,また,補正の仕方を具体的に説明しなかった。

(1)
原告は,拒絶理由通知(2)を受けた後,審査官に対し,原告が本願で主張している発明の内容は,拒絶理由通知において引用されている刊行物には載っていないとの意見を電話で述べたところ,審査官からは,そのように意見書を書いて提出すればいい,とのみ言われた。そこで,原告が,意見書だけ提出すると,拒絶理由通知(2)に対する手続補正を行っていないとの理由で拒絶査定をされた。審査官は,意見書と一緒に手続補正書も提出しなくてはいけないとの説明をしなければならないのに,そのように述べなかったのであるから,上記義務違反がある。なお,拒絶理由通知(2)と一緒に送られてきた注意書等にも,手続補正書と意見書を一緒に提出することは一切記載されていなかった。


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プロフィール

徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
業界動向や知財判決などの情報をアップしていきます。

SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

お問い合わせはbiopatentblog@gmail.com(@は半角)へお願いします。

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