■2017-09-

■STAP細胞の特許出願の今(2017年9月)


STAP細胞の特許出願(
特表2015-516812)に拒絶理由通知書がでて、その後補正がされたそうです。

・日本の「STAP特許出願」拒絶理由にハーバード大が想定外の応答
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20170914-00075755/


というわけで、審査書類を見てみました。
まず、補正前の請求項1は下記のとおりです。(請求項74まであります。)

「【請求項1
細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。」



補正後の独立請求項は下記のとおりです。(下線は補正箇所です。)

「【請求項1
細胞を
pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5.45.8pHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法
【請求項20
細胞を、
pH5.45.8の低pHストレスに供する工程を含む、該細胞においてOct4遺伝子の発現を誘導する方法であって、ここで、pHの調整が、ATPを用いて行われることを特徴とする、方法。
【請求項21
細胞を、
pH5.45.8の低pHストレスに供する工程を含む、Oct4遺伝子を発現する細胞の製造方法であって、ここで、pHの調整が、ATPを用いて行われることを特徴とする、方法。



拒絶理由通知書では、新規性、進歩性、実施可能要件、サポート要件、明確性、産業上の利用可能性に関する拒絶理由が通知されました。
実施可能要件に関しては、審査官は以下のコメントをしています。

「・・・これを本願の発明の詳細な説明についてみると、その実施例において示された内容は上記両Nature論文と同内容のものと認められるところ、上述の論文取り下げ及び再現実験の結果という事情に鑑みれば、現時点においては、当該論文において確認された現象は、その信憑性については疑義があり、また、再現不可能なものというほかない。」
「仮に、発明の詳細な説明の記述に包含される条件のうち限られた特定の条件において、細胞をストレスに供することによって細胞を脱分化させて多能性細胞を生成することが可能であったとしても、本願発明の属する技術分野において通常の知識を有する研究者、すなわち当業者でさえ、その再現のためには試行錯誤、複雑高度な実験等を要し、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成するに至っていないのであるから・・・」


つまり、再現できないし、仮にできたとしても、過度な試行錯誤を要するからNGっていっています。
まぁこれまでの経緯を考えるとそうなりますよね。

これに対して、出願人は上述の補正をしました。即ち、「STAP細胞」は「Oct4を発現する細胞」に補正され、「低pH」、「5.45.8pH」、「調整がATPを用いて行われること」の限定が加わりました。

ざっと読んだ感じでは、拒絶理由通知書ではOct4発現細胞についてまでは否定されていないようです。
たしか、小保方さんもOct4を発現する細胞を作ったと『あの日』の中で述べていたと思います。

明細書内にATPpHを調整したっていう直接的な記載がないのは気になりますが、ぐぐった感じではSTAP細胞の実験においてATPpH調整のために使っていたのは事実のようです。

・・・とはいいつつも、これで特許になりそうかというとそうもいかないだろうなという印象です。



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■バイオ医薬品の特許調査セミナーを開催しました!

 
昨日は、とある製薬会社の団体様からのご依頼で、バイオ医薬品の特許調査セミナーの講演をしてきました。
講演タイトル・目次は下記のとおりです。講演時間は2時間40分(休憩15分含む)で、参加者は60数名で、会場はいっぱいでした。

前半の「2. クリアランス調査」では、調査の考え方・進め方を単純に解説するだけでなく、仮想事例を私の方で作った上で、実際に検索した結果を紹介しながら、具体的にどのように検索式を作るとよいかということも解説しました。さらに、バイオ医薬品の調査に特有の留意点がいくつかあるので、それらを解説しました。

後半の「3. 無効資料調査」では、先日のバイオ医薬EXPOのときと同様に、バイオ医薬特許の異議申立・無効審判事例を紹介しました。ただ今回は検索事例をつけたり、調査の観点から何ができるかという点をより詳しく解説しました。

せっかく会場まで足を運んで頂きましたので、参加者の皆様が参考になったと思える点を何かご提供できていればなと思っています。

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■タイトル
バイオ医薬品の特許調査手法と無効審判・異議申立への応用

■目次
. 基本事項のおさらい
 1.1  バイオ医薬品とは
 1.2  特許調査の種類

. クリアランス調査
 2.1  クリアランス調査の基本
   2.1.1  クリアランス調査とは
   2.1.2  クレームが大事
   2.1.3  バイオ医薬特許のクレームの例
   2.1.4  抗体医薬特許に特有のクレーム限定の例
   2.1.5  核酸医薬特許に特有のクレーム限定の例
 2.2  PD-1抗体の調査事例
 2.3  バイオ医薬品のクリアランス調査の留意点

. 無効資料調査
 3.1  無効資料調査の基本
  3.1.1  無効資料調査とは
  3.1.2  実施例・実験結果が大事
  3.1.3  鑑定的な観点で読む・探す
 3.2  無効資料調査の異議申立・無効審判への応用
  3.2.1  異議申立・無効審判の流れ
  3.2.2  近年のバイオ医薬特許の異議申立・無効審判事例と検索例
   3.2.2.1  アクテムラ製剤特許の無効審判事例
        ~ポリクロとモノクロを組み合わせるのは難しい~
   3.2.2.2  オプジーボ用途特許の異議申立事例の無効審判事例
        ~多数列挙中の一行記載の弱さ~
   3.2.2.3  ハーセプチン用法用量特許の無効審判事例
        ~シミュレーションが薬理データの代わりになる?~
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徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
業界動向や知財判決などの情報をアップしていきます。

SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

お問い合わせはbiopatentblog@gmail.com(@は半角)へお願いします。

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