■換気扇フィルター 平成22(行ケ)10075 審決取消請求事件


コメント: 「審決には本件各発明の解決課題を正確に認定していない点で誤りがあり、また、誤った解決課題を前提とした上で本件各発明が容易想到であるとした点において誤りがある」として進歩性なしの無効審決が取り消された。 課題の認定は慎重に。 「課題の設定が新規」で進歩性を主張するときに参考になる事例。 


平成22(行ケ)10075 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成230131日 知的財産高等裁判所
判決
原 告 日 本 ノ ン テ ッ ク ス 株 式 会 社
原 告 日 本 製 箔 株 式 会 社
上記2名訴訟代理人弁理士 奥 村 茂 樹
被 告 東 洋 ア ル ミ エ コ ー プ ロ ダ ク ツ 株 式 会 社
訴 訟 代 理 人 弁 理 士 藤 井 
同 弁 護 士 平 野 和 宏
同 弁 理 士 山 崎 裕 史

主文
1 特許庁が無効2009-800070号事件について平成22年1月25日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
主文と同旨。

第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯等
原告らは,発明の名称を「換気扇フィルター及びその製造方法」とする特許第3561899号(平成12年7月10日出願,平成16年6月11日設定登録。以下「本件特許」という。)の特許権者である。
被 告は,平成21年3月30日,本件特許の無効審判請求(無効2009-800070号事件)をし,特許庁は,同年11月17日の口頭審理を経て,平成22 年1月25日,「本件特許の請求項1~4に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「審決」という。)をして,その謄本は,同年2月4日, 原告らに送達された。

2 特許請求の範囲
本件特許の明細書(甲37。以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし4の記載は,次のとおりである(以下,請求項1ないし4に係る各発明を,それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」といい,それらを総称して「本件各発明」ということがある。)。
【請求項1】
  金 属製フィルター枠と,該金属製フィルター枠に設けられた開口を覆って,該金属製フィルター枠に接着されている不織布製フィルター材とよりなる換気扇フィル ターにおいて,該金属製フィルター枠と該不織布製フィルター材とは,皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤を用いて接着されていることを特徴と する換気扇フィルター。
【請求項2】
  皮膜形成性重合体のガラス転移点が-10℃~+30℃である請求項1記載の
換気扇フィルター。
  【請求項3】
  ・・・。

3 審決の理由
(1) 別紙審決書写しのとおりである。要するに,
ア 本件発明1は,甲1の1(実願昭58-136320号のマイクロフィルム)記載の発明(審決が認定した発明の内容は後記(2) の 発明Aのとおりである。以下「発明A」という。),甲2(特開平7-188632号公報)の記載,並びに甲10(特開平11-129645号公 報),11(特開昭51-48408号公報)及び24(特開2000-126523号公報)に記載された周知技術に基づいて容易になし得た,
イ 本件発明2は,発明A,甲2の記載,並びに甲4(特開平1-152056号公報),10,11及び24に記載された周知技術に基づいて容易になし得た,
ウ 本件発明3は,甲1の1記載の発明(審決が認定した発明の内容は後記(2) の 発明Bのとおりである。以下「発明B」という。),甲2の記載,並びに甲10,11,16(特開平10-245537号公報),24及び29(「最新ラミ ネート加工便覧」1989年6月30日,加工技術研究会,75ないし92頁)に記載された周知技術に基づいて容易になし得た,
エ 本件発明4は,発明B,甲2の記載,並びに甲4,10,11,16,24,29に記載された周知技術に基づいて容易になし得た,として,本件特許は,特許法29条2項の要件に該当するから,特許法123条1項2号の規定により,無効とすべきものであると判断した。

・・・。

第3 当事者の主張

・・・。

(2) 本 件各発明及び周知技術の課題(甲18,19,32(審判乙2))を誤って認定し,容易想到性を判断した誤り(取消事由2)審決は,本件各発明の課題につい て,「換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄する」こととした上で,甲18,19及び32の記載から, 「『換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄する』ことを容易に行うことは,本件特許に係る出願前の周知の 解決すべき技術課題であったといえる。」(審決書21頁28ないし31行)と認定し,甲2に接した当業者は,上記課題を解決するため,接着剤成分が溶解又 は膨潤して剥離するものを選択する動機付けを得る,甲10,11及び24記載のように,アクリル酸エステル系重合体の水性エマルジョン型接着剤は,接着剤 成分が溶解又は膨潤して剥離する,周知の接着剤であって,「皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤」にほかならない,などとして,廃棄時に金属 製フィルター枠と不織布製フィルター材とを容易に剥離するために,発明Aの接着剤に「皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤」を用いることは, 当業者であれば困難なくなし得たとした上で,本件各発明は容易想到であると判断した。

しかし,審決の認定は誤りである。
本 件明細書の段落【0006】には,「本発明者は,金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを強固に接着せしめる一方,簡単に剥離しうる接着剤を捜し求 めた。しかし,強固な接着と簡単な剥離という,二律背反的な性質を持つ接着剤は無いというのが技術的常識であった。ところが,本発明者が,・・・ある特定 の接着剤を用いると,通常の状態では強固な接着が達成でき,水を付与すると,金属と不織布間との接着力が低下することを見出した。そして,このような接着 剤を用いれば,使用後の換気扇フィルターを水に漬けただけで,容易に金属製フィルター枠と不織布製フィルターに分別しうると考え,本発明に到達した。」と 記載されている。同記載によれば,本件各発明の解決課題は,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを強固に接着されている換気扇フィルターの使用 後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄する」ことである。しかし,審決は,本件各発明について,金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で強固に接着されている換気扇フィルターという前提を捨象して,単に,「換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄する」点のみを解決課題としている点において,誤りがある。

他方,甲18記載のレンジフード用フィルターは,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが強固に接着されている換気扇フィルター」ではなく,甲19及び32(審判乙2)には,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で強固に接着されている換気扇フィルターをいかにして分別廃棄するか」という課題は提示されていないにもかかわらず,審決は,上記の課題は,周知であると認定した点で誤りがある。
し たがって,審決は,本件各発明の課題を誤って認定した上,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で強固に接着されている換気扇フィルター をいかにして分別廃棄するか」という本件各発明の課題が,本件特許出願前に周知でないにもかかわらず,周知と認定して,容易想到性を判断した誤りがある。

2 被告の反論

・・・。

第4 当裁判所の判断
   当裁判所は,原告主張に係る取消事由2(本件各発明及び周知技術(甲18,19及び32)の課題を誤って認定し,容易想到性を判断した誤り)は理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,審決は,特許法29条2項に違反し,取り消されるべきものと判断する。

1 はじめに
1) 容易想到性判断と発明における解決課題
当 該発明について,当業者が特許法29条1項各号に該当する発明(以下「引用発明」という。)に基づいて容易に発明をすることができたか否かを判断するに当 たっては,従来技術における当該発明に最も近似する発明(「主たる引用発明」)から出発して,これに,主たる引用発明以外の引用発明(「従たる引用発 明」)及び技術常識等を総合的に考慮して,当業者において,当該発明における,主たる引用発明と相違する構成(当該発明の特徴的部分)に到達することが容 易であったか否かによって判断するのが客観的かつ合理的な手法といえる。当該発明における,主たる引用例と相違する構成(当該発明の構成上の特徴)は,従 来技術では解決できなかった課題を解決するために,新たな技術的構成を付加ないし変更するものであるから,容易想到性の有無の判断するに当たっては,当該 発明が目的とした解決課題(作用・効果等)を的確に把握した上で,それとの関係で「解決課題の設定が容易であったか」及び「課題解決のために特定の構成を採用することが容易であったか否か」を総合的に判断することが必要かつ不可欠となる。上記のとおり,当該発明が容易に想到できたか否かは総合的な判断であるから,当該発明が容易であったとするためには,「課題解決のために特定の構成を採用することが容易であった」ことのみでは十分ではなく,「解決課題の設定が容易であった」ことも必要となる場合がある。すなわち,たとえ「課題解決のために特定の構成を採用することが容易であった」としても,「解決課題の設定・着眼がユニークで あった場合」(例えば,一般には着想しない課題を設定した場合等)には,当然には,当該発明が容易想到であるということはできない。ところで,「解決課題 の設定が容易であったこと」についての判断は,着想それ自体の容易性が対象とされるため,事後的・主観的な判断が入りやすいことから,そのような判断を防 止するためにも,証拠に基づいた論理的な説明が不可欠となる。また,その前提として,当該発明が目的とした解決課題を正確に把握することは,当該発明の容易想到性の結論を導く上で,とりわけ重要であることはいうまでもない。
上記の観点から,以下,本件各発明の容易想到性の有無に関してした審決の判断の当否を検討する。

(2) 審決の理由の内容について
本件各発明が容易想到であると判断した審決の論理は,以下のとおりである。すなわち,・・・。
ア 本件発明1及び2
本 件発明1と発明Aの一致点を「金属製フィルター枠と,該金属製フィルター枠に設けられた開口を覆って,該金属製フィルター枠に接着されている不織布製フィ ルター材とよりなる換気扇フィルターにおいて,該金属製フィルター枠と該不織布製フィルター材とは,接着剤を用いて接着されている換気扇フィルターである 点」と認定し,また,相違点を「接着剤につき,本件発明1では,皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤を用いているのに対し,発明Aでは,かか る接着剤を用いていない点」と認定した。
次 に,上記相違点に係る構成に至ることが容易想到であるとする論理を次のように述べた。①本件発明1の課題は,本件明細書の段落【0003】ないし 【0006】の記載から,「換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄すること(を容易にすること)」である とした上,「換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄すること(を容易にすること)」は,周知の技術的課題であるとし(甲18,19及び32),②甲 2には,水溶液によって成分が溶解または膨潤し剥離する粘着剤が記載され,粘着剤は複数の物質を接合する接合剤としてみれば接着剤と共通するとし(甲 27,甲34),③甲2に接した当業者は,上記課題を解決するため,接着剤成分が溶解又は膨潤して剥離するものを選択する動機付けを得るものといえる,などと判断した。
そして,上記課題を解決すべく,廃棄時に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを容易に剥離するために,発明Aの接着剤に「皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤」を用いることは,当業者であれば困難なくなし得たとの結論を導いた。

・・・。

2 審決の適否について
審決には,本件各発明の解決課題を正確に認定していない点で誤りがあり,また,誤った解決課題を前提とした上で本件各発明が容易想到であるとした点において誤りがある。その理由は,以下のとおりである。すなわち,・・・。

・・・。

2) 判断
ア 本件発明1は,前記認定のとおり,従来の換気扇フィルターでは,アルミニウム箔片面全面に,感熱性接着剤皮膜を設け,これに,張出成形や膨出成形等の成形 を施すと共に,打抜加工して開口を設けて金属製フィルター枠とし,この金属製フィルター枠の開口を覆うようにして不織布製フィルター材を張り,押圧加熱 し,感熱性接着剤を溶融固化させて,不織布製フィルター材を金属製フィルター枠に接着するという方法で製造されていたので,使用後に,不織布製フィルターを金属製フィルター枠から剥離しようとすると,両者の接着が強固であるため,不織布製フィルターが破れてしまい,両者を分別することができないという欠点があったため, 本件各発明は,金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを接着する際,通常の状態では強固な接着が達成でき,水を付与すると,金属と不織布間との接着 力が低下する性質を持つ接着剤を用い,使用後の換気扇フィルターを水に浸漬することにより,容易に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とに分別し得 るようにすることを発明の目的としたものである。そうすると,本件発明1は,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で接着 されている換気扇フィルターにおいて,通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得るようにして,素材毎に分別して廃棄すること を可能とすること」を解決課題とし,「(換気扇フィルターにおいて),通常の状態では強固に接着させるが,水に浸漬すれば接着力が低下し,容易に金属製 フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別し得る皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤を用いること」を解決手段とした発明である。

こ れに対して,前記認定のとおり,審決が文献から引用した発明Aは,「金属箔をもって一体に形成された,レンジフードの開口部周縁への取付座となるフィル ターカバーの鍔部と,この鍔部の内周縁に立上り壁と,該立上り壁の下端に格子状部と,該格子状部に接着剤によって装着されている難燃性乃至不燃性の不織布 フィルターと,前記鍔部に取付けたレンジフードへの吸着用マグネットからなるレンジフード用フィルターカバー。」であって,「金属製フィルター枠と不織布 製フィルター材とが接着剤で接着されている換気扇フィルターにおいて,通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得るようにし て,素材毎に分別して廃棄することを可能とすること」を解決課題として,これに対する解決課題を示した本件発明1とは異なる。甲1には,本件発明1が目的 としている解決課題及び解決手段に関連した記載又は開示等はないのみならず,逆に,フィルターをフィルターカバーから剥離せずに廃棄することを前提とした発明であることが示されている

イ この点について,審決は,前記甲18,19及び32の例から,「換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別して廃棄す ること(を容易にすること)」は,周知の技術的課題であることから,当業者は,甲2に接すれば,上記の課題を解決するため,接着剤成分が溶解または膨潤す るものを選択することが容易であると判断している。
しかし,審決は,上記課題が周知であるとすると,なにゆえ本件発明1の引用発明(発明A)との相違点に係る構成が容易に想到できることになるのかに関する論理について,合理的な理由を示していない点において,妥当を欠く
の みならず,甲18,19及び32の記載を子細に検討してみても,本件発明1が解決課題としている「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で 接着されている換気扇フィルターにおいて,通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得るようにして,素材毎に分別して廃棄する ことを可能とすること」と同様の解決課題を示唆するものはない。

す なわち,①甲18,19及び32は,換気扇フィルターの使用後に金属製フィルター枠及びフィルター材の廃棄を容易にするものではあるものの,いずれも,金 属製フィルター枠とフィルター材とが「接着剤で接着されている」ことを前提とした発明とは異なる技術を示すものである。また,・・・。

・・・。

・・・すなわち,「接着剤につき,本件発明1では,皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤を用いているのに対し,発明Aでは,かかる接着剤を用いていない点。」に関する解決課題及び解決手段についての示唆はない。
し たがって,審決において,本件発明1における「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で接着されている換気扇フィルターにおいて,通常の状 態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得ることを容易化すること」という解決課題設定及び解決手段の達成が容易に想到できたとの点に ついて,証拠を基礎とした客観的合理的な論理に基づいた説明が示されていると判断することはできない。甲2には,前記のとおり,①水溶液に よって粘着剤が溶解又は膨潤して剥離することができるマスキングテープ及びラベル等の粘着剤として用いることのできる水溶性粘着剤組成物及びその製造方法 に関するものであること,②電子材料の分野で使用される保護テープ,セラミックスチップを機械研磨するときのチップ固定用の粘着テープなどでは,地球環境 保護のため,粘着成分残渣が水洗浄可能なものであることが求められ,高い再剥離性と容易に剥がれない接着性とが要求されるという課題があること,③末端 OH基を有する(メタ)アクリレートをリン酸でエステル化したモノマーを必須のモノマー成分とするポリマーを含み,上記ポリマーがアルカリ性中和剤で中和 されていることを特徴とする水溶性粘着剤組成物により上記課題を解決する発明が記載されている。
し かし,前記のとおり,甲18,19及び32等の例によっても,「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で接着されている換気扇フィルターに おいて,通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得ることを容易化すること」との解決課題を設けることが示されていない以上, 当業者において,発明Aに,甲2記載の発

明 を適用することによって,本件発明1における発明Aとの異なる構成に想到することが容易であったとすることもできない。すなわち,発明Aから,本件発明1 の特徴点(「(通常の状態では強固に接着させるが,水に浸漬すれば接着力が低下し,容易に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを分別し得る)皮膜 形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤を用いること」)に到達することの示唆が,甲2の記載に存在するとはいえないから,結局,発明Aに甲2記載の 発明を適用することが,容易とはいえない。
し たがって,甲2に接した当業者が,換気扇フィルターの廃棄時に金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とを容易に剥離するために,発明Aに「皮膜形成性 重合体を含む水性エマルジョン系接着剤」を用いることは困難なくなし得たとした審決の判断は誤りであり(この点は,甲2記載の粘着剤,並びに甲10,11 及び24記載の接着剤が「皮膜形成性重合体を含む水性エマルジョン系接着剤」に相当するか否かに左右されるものではない。),これを前提とした本件発明1 に関する容易想到性の判断にも誤りがあるというべきである。
上記述べた理由は,本件発明2ないし4についても,同様に妥当する。

 (3) 以上のとおり,審決には,本件各発明の解決課題を正確に認定していない点で誤りがあり,また,誤った解決課題を前提とした上で本件各発明が容易想到であるとした点において誤りがあるから,取り消されるべきである。

3 小括
以上のとおり,原告らの主張する取消事由2には理由があるから,その余の争点について判断するまでもなく,本件各発明についての特許を無効とした審決は,違法として取り消されるべきである。

第5 結論
よって,原告らの主張は理由があるから,審決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 飯 村 敏 明 裁判官 齊 木 教 朗 裁判官 武 宮 英 子
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