■バイオメモ

■山中教授のiPS細胞特許をいくつか


昨年のバイオ業界の一番の話題は、山中教授のノーベル賞受賞だったと思います。今回は、山中教授のiPS細胞関連の特許をいくつかご紹介します。

「特許4183742
【請求項1】
体細胞から誘導多能性幹細胞を製造する方法であって、下記の4種の遺伝子:Oct3/4、Klf4、c-Myc、及びSox2を体細胞に導入する工程を含む方法。」

この特許は、「4つの遺伝子を導入する」という特徴がそのまま記載されていて、報道の人にもわかりやすい内容になっていると思います。この特許は遺伝子4つですが、後に遺伝子が3つの場合の特許として、特許5098028(下記)をとっています。この特許5098028の分割出願が、特許4183742です。早期審査して先に特許になりました。優先日は2005年12月13日、登録日は2008年9月12日。

「特許5098028
【請求項1】
下記の(1)、(2)、(3)および(4)の遺伝子:
(1)Oct3/4遺伝子、
(2)Klf2遺伝子およびKlf4遺伝子から選択される遺伝子、
(3)c-Myc遺伝子、N-Myc遺伝子、L-Myc遺伝子およびc-Myc遺伝子の変異体であるT58A遺伝子から選択される遺伝子、および
(4)Sox1遺伝子、Sox2遺伝子、Sox3遺伝子、Sox15遺伝子およびSox17遺伝子から選択される遺伝子、
を体細胞に導入する工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入する遺伝子から除かれていてもよい、前記製造方法(ただし、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子、c-Myc遺伝子およびSox2遺伝子を体細胞に導入する場合を除く)。
【請求項2】
下記の(1)、(2)および(3)の遺伝子:
(1)Oct3/4遺伝子、
(2)Klf2遺伝子およびKlf4遺伝子から選択される遺伝子、および
(3)Sox1遺伝子、Sox2遺伝子、Sox3遺伝子、Sox15遺伝子およびSox17遺伝子から選択される遺伝子、
が導入された体細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で培養する工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入されていなくてもよい、前記製造方法(ただし、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子およびSox2遺伝子が導入された体細胞は前記体細胞から除かれる)。
…。」

この特許は、条件付きで遺伝子が4つでなくてもOKという内容になっています。最近登録になりました(2012年10月5日)。「初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入されていなくてもよい」はOA応答時に補正で追加された記載ですが、ちょっと気になる表現なので意見書を見てみると、以下のように説明されていました。結構あっさり。

「3. その他の補正について
今回の補正にて、請求項1および請求項2に、それぞれ「であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入する遺伝子から除かれていてもよい、前記製造方法」、「であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入されていなくてもよい、前記製造方法」という文言を追加しました。これらの補正は、本願明細書(国際公開WO2007/069666A1の17ページ8~11行目)の記載に基づくものです。」

17ページ8~11行目は実施形態中の記載です。この補正に対する審査官のコメントはありません。
条件付きで遺伝子が4つでなくてもOK(c-Mycを入れなくてもいい)な特許として、米国で下記が特許になっています。

「US8,278,104
1. A method for preparing an induced pluripotent stem cell by nuclear reprogramming of a mammalian somatic cell, comprising: a) introducing into the mammalian somatic cell one or more retroviral vectors comprising Oct3/4, Klf4 and Sox2 operably linked to a promoter, and b) culturing the transduced somatic cell in the presence of a cytokine on a fibroblast feeder layer or extracellular matrix under conditions that maintain pluripotency and self renewal.
….」

■米国訴訟: モンサントのRoundup Ready訴訟、賠償額は$1 billion


■バイオ特許ニュースを提供していただいたので紹介します。

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地裁判決ですが、MonsantoがDuPontに勝利したそうです。
賠償金額は1$ billion(約800億円)です。
Monsantoの主力製品である、Roundup Ready soybean(遺伝子組換え(GMO)ダイズ)
の特許を故意に侵害したとの判決です。
ちなみに、MonsantoのRoundup(農薬)とRoundup Ready soybean(農薬耐性ダイズ)の
組み合わせの商品戦略は、米国のダイズ生産の90%以上を占めるそうです。
Roundup Ready特許は2014年に切れるとのことです。(提供:宍戸知行弁理士)

New York Times (August 1, 2012)
http://www.nytimes.com/2012/08/02/business/monsanto-wins-big-award-in-a-biotech-patent-case.html?_r=1&ref=business
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モンサントといえば、JETROが紹介している下記の判決も興味深いです。

・出典:JETROデュッセルドルフセンター(2010年7月8日)
「欧州連合司法裁判所(CJEU: Court of Justice of European Union)は,7月6日,DNA配列に関する特許は,そのDNA配列を含んでいたとしても,DNA配列による機能を発揮しない状態の材料に対しては権利行使をすることができないとする判決(C-428/08)を下した。」
http://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/pdf/20100708.pdf

日本では、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟と絡めて、遺伝子組換え食品の表示義務が緩和されるのではないかということが懸念されているようです。TPPと組み換え表示でググるとたくさんでてきます。

・遺伝子組換え食品の表示の参考URL
遺伝子組換え食品の表示
http://www.maff.go.jp/j/fs/f_label/f_processed/gene.html
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/pamph_d6.pdf
食品表示に関する共通Q&A
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/qa_j.pdf

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プロフィール

徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
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SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

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