■J-PlatPatが使えない!?


明日の午前はJ-PlatPatが使えません。
ちょっとの期間なので問題ないと思いますが、みなさんご注意ください。

【緊急】2019/3/16(土)9:00〜2019/3/16(土)12:00までJ-PlatPat全サービスを停止します

ちなみに3/30(土)9時~4/1(月)8時も使えません。
年度末の仕事が終わらなくて土日に突入した場合、J-PlatPatが使えないので要注意ですね。

ここ半年以上、J-PlatPatを使った特許調査の連載をやってて、原稿を土日に書くことがあります。
J-PlatPatの停止日が原稿の締め切りに近いと結構やばいので、停止日には気をつけるようにしています。

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■『乃至』、『思料します』って何ですか?


特許業界で使われるちょっと堅めの言い回しがあります。
だいたいこんな意味合いでみなさん使ってるんだと思います。


●乃至 → ~

●思料します。 → 考えます。

●鑑みると → (照らし合わせて)考慮すると

●を踏襲し → を反映させて/と同じように行い

●従前 → これまで/以前

●審査官殿 → 審査官の○○様


この中で、特許実務上一番避けて通れないのは『審査官殿』かなと思います。
意見書で『審査官殿は以下の拒絶理由を通知されました』とか、『審査官殿は・・・と認定されました』とか書きますよね。
『拒絶理由通知書には以下の記載があります』って書く方法もありますが。


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■MCIって知っていますか?


昨日のPR TIMESに
「アルツハイマー病に進行するMCI患者を識別する技術に関する国内特許を取得」
という記事がありました。

出願人の株式会社ERISAのプレスリリースです。滋賀医科大との共願です。

・PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000041196.html

MCIとは、Mild Cognitive Impairmentの略で、認知症の前段階の状態(軽度認知障害)を意味します(詳しくは上のリンク先に記載されています)。

昨年10~12月のテレビドラマで『大恋愛~僕を忘れる君と』というのがありましたが、女優の戸田恵梨香さん演じる北澤尚がMCIと診断され、後にアルツハイマー病に進行していく話でした。
このドラマでMCIを知った方も多いと思います。

上記の特許は、進行性MCIと非進行性MCIを識別する技術に関します。この技術によって、進行性MCIの患者を主な対象として治験を実施することが可能となり、アルツハイマー病の治療薬の開発につながる可能性があるそうです。

昨日のブログでAIの話を取り上げましたが、この特許の進行性MCI識別技術も機械学習を利用して開発されたそうです。

特許番号が6483890と記載されていたので、J-PlatPatで調べてみたところ、まだ公報は公開されていませんでした。
早期審査で特許になったようです。
出願日は2018/4/27で、特許査定は2019/1/18です。

特許公報が公開されたら、どのような請求項なのか見てみようと思います。

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■AI特許ランキングを正しく見る


3月10日付の日経新聞で、
「AI特許 米中が逆転 上位50に中国19社、国策映す」
という記事がありました。2016~18年の3年間で公開された特許(日米欧中WIPOなど)の出願件数を調べたそうです。調査はパテント・リザルト社の協力で行ったそうです。

・日経
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42267450Z00C19A3EA1000/

一方で、2月1日付のSankeiBizで、
「AI特許出願企業、日本勢が健闘 WIPO報告書 上位10社中6社占める」
という記事がありました。こちらはWIPOの報告書をもとにしています。

・SankeiBiz
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190201/mca1902010500003-n1.htm

どちらも1位IBM、2位マイクロソフトまでは同じですが、他は結構違います。
日経は米中が強い感じで、SankeiBizは日本が健闘した内容になっています。

この差異は、調査対象年、調査対象国などの違いによると考えられますが、このように特許ランキングは作り方・見せ方によってイメージを変えられるので注意が必要です。

ちなみに、中国網日本語版はSankeiBizと同じWIPO報告書に基づいて、
「AI特許、米中が世界をリード WIPO報告」
という記事を出しています。

・中国網日本語版
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2019-02/01/content_74433027.htm


この件に限ったことではないのですが、母集団を作るときの検索式の違いによって特許ランキングの結果は大きく異なります。
わかりやすいところだと、検索式に特許分類だけを使用する場合、キーワードだけを使用する場合、それらの併用の場合で違います。

また、AI特許をどう定義するかにもよります。例えば、明細書のどこかに人工知能(及び関連ワード)の記載があったら全てAI特許とするのか、もしくは、その記載が特許のメイン技術に関与しているときのみAI特許とするのかによっても、母集団が大きく変わってきます。

私の方でAI特許を検索したところ、対象国を日本のみにすると、IBMとマイクロソフトの順位はかなり下がりました。日本にはあまり出願してないようです。

というわけで、特許ランキングの評価って難しいって話でした。
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■PCT指定国は全指定で


PCT出願を行う際、特許事務所から出願人へ、指定国の「全指定」or「日本除外」の希望を聞かれることがあるかと思いますので、その点について書いてみます。

PCT出願の指定国は、みなし全指定制度により、何もしないと「全指定」になります。

・特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/kisoku/kaisei/pct_kaisei.html

実務的にはほとんどの場合「全指定」で手続きを進めますが、「日本を指定除外」することもできます。

・特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tetuzuki/pct49b_kaisei_gaiyou.html

日本を指定除外するメリットはほとんどないので、通常は「全指定」で進めることがほとんどです。
ぐぐるとこの辺の議論をした記事がいくつか出てきます。

http://skiplaw.blog101.fc2.com/blog-entry-21.html
https://ameblo.jp/lunatic2009/entry-10369909097.html
https://ameblo.jp/acker/entry-11935591192.html

日本へのPCT国内移行の代理人費用が高い場合は、日本除外の方が費用的に有利という見方もあります。
SKは1万円なので全指定が有利です。他の事務所はわかりませんが、日本の手続きは簡単なのでそんなに高くは請求しないのではないでしょうか。期限管理はしないといけないですが。

また、バイオ、医薬分野では、優先権主張出願をして特許の存続期間を実質1年延ばすことが重要だったりしますが、そうすると、仮に「日本を指定除外」しても別途、国内優先権出願をすることになり、その分の代理人費用が発生すると思います。
そのため、この点からも「全指定」でOKということになります。


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tag : PCT出願

■事務所のホームページが新しくなりました!


私が勤務している特許事務所(SK特許業務法人)のホームページが新しくなりました。

https://skiplaw.jp/

以前のホームページは手作り感が強く、刺激的なコンテンツが多かったのですが、今回のリニューアルで普通のホームページに近づいたと思います。

ちょっと気になるところがあるので(文字サイズ、文章表現、個人写真の有無など)、今後微修正をするかもしれませんが、大枠は完成しました。

私はホームページの更新をサブで担当することになりました。

英語版、中国版は今月中を目処にアップされると思います。


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■2018年を振り返って。 判決・執筆・仕事・趣味など。

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2018年ももう終わりですね。
今年もブログを見てくださった皆様ありがとうございました。
今回は、2018年を振り返ってみたいと思います。
まずは2018年の注目判決から。


2018年の注目判決
今年は医薬分野の大合議判決が1件ありました。

7月22日:(ロスバスタチンCa物質特許の知財高裁大合議判決)甲2の置換基が2000万通り以上の選択肢の1つで、且つ積極的あるいは優先的に選択すべき事情がないので引用発明と認定できないと判断された事例

個人的に興味深かったのは以下の判決です。

7月23日:機能限定抗体特許の侵害訴訟において、被告製品が機能を有していても、技術的範囲に含まれないと判断された事例
7月25日:クレームの用途を狭く解釈することにより、甲文献に対して新規性ありと判断した事例
10月26日:<ハーセプチン用法特許の審決取消訴訟> 実施例に書いた定性的効果(未来形)に基づいて実験データを提出したが、定性的効果を超えて参酌することはできないと判断された事例
12月28日:引例(ウェブページ)の「製品の特徴」の欄に「止血剤」の一行記載があったが、「止血剤」の用途は進歩性ありと判断された事例



2018年の注目バイオトピック
バイオ関係だとこういうのがありました。今年もいろいろありましたね。

・本庶佑氏のノーベル医学生理学賞受賞(PD-1の発見、オプジーボの開発)
・ハーセプチンのバイオシミラーの日本発売
・二重特異性抗体の医薬品の日本発売(血友病A治療薬ヘムライブラ、抗悪性腫瘍剤ビーリンサイト)
siRNAの医薬品の米国承認(ATTR-FAP治療薬Onpattro
iPS細胞由来細胞によるパーキンソン病の治験
・中国でゲノム編集ベビー誕生騒動


■執筆
PHARM TECH JAPAN
(出版社:じほう)で医薬特許調査の連載をはじめました。7月号から掲載していて、今も継続中です。
連載なんて初めてだったので、毎月原稿を書けるのか心配でしたがなんとかなりました。
あと数ヶ月がんばります。

来年7月には、第3回バイオ医薬EXPOでバイオ医薬特許の講演をする予定です。


■事務所(SK)のお仕事
今年も適度に仕事をしました。明細書作成、拒絶応答、特許調査、鑑定、コメント、審判、訴訟など。


■趣味
今年もバスケが楽しい1年でした。シュートフォームが少し変わって、最近確率が上がった気がします。
NBA
は最近あまり見れてないけど、クリッパーズの元主力メンバーが各チーム(ロケッツ、76ers、ピストンズ、マブス)に行って活躍してるのを見るのは楽しい。


■その他
人生初の特許出願の発明者(共同)になりました。
まさか自分が発明者になるときがくるとは思っていませんでした。
しかもバイオ系ではなく、ピアノペダルの補助装置に関する発明です。
そのうちこのブログでも紹介したいと思います。

また、今年は数年ぶりに実家のある鹿児島に帰りました。
両親と軽い旅行に行ったり、買い物したりして過ごしました。あと、学生時代よく遊んでいた友人と10年以上ぶりに会ってご飯に行きました。来年も帰れるといいな。


■抱負
来年はもうちょっと仕事と勉強をがんばろうかなぁと思います。


ではみなさん良いお年を。


■クレームの「測定」を狭く解釈した上で、被告方法は技術的範囲に含まれないと判断した事例


<判決紹介>
・平成29()28884  特許権侵害差止等請求事件
・平成301128日判決言渡
・東京地方裁判所民事第29部 山田真紀 伊藤清隆 西山芳樹
・原告:ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・ゲーエムベーハー
・被告:ラジオメーター株式会社
・特許5215250
・発明の名称:敗血症及び敗血症様全身性感染の検出のための方法及び物質


コメント
敗血症の検出方法に関する特許の侵害訴訟をご紹介します。
本件特許の請求項1は以下の通りです。

「【請求項1】 患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定することを含む,敗血症及び敗血症様全身性感染を検出するための方法。」


請求項1には「プロカルシトニン3-116を測定すること」との記載があります。
一方で、被告の方法は、「全血及び血漿検体中のプロカルシトニン3-116とプロカルシトニン1-116が区別されることなく測定」されています。

この場合の被告方法が、請求項1の技術的範囲に含まれるかが争点になりました。

裁判所は、請求項1の「測定」を狭く解釈した上で、被告方法は技術的範囲に含まれない、と判断しました。

裁判所の判断は以下の通りです。


判決----------------------------------------------------------------------------------------
4 当裁判所の判断
本件発明について
・・・
  本件発明の概要
前記第22⑵イ認定の本件特許の特許請求の範囲,前記⑴認定の本件明細書の発明の詳細な説明及び図面に照らせば,本件発明の概要は次のとおりであると認められる。
 
  本件発明は,敗血症等において,プロカルシトニン又はその部分ペプチドの発生に関係する診断及び治療の可能性に関する(【0001】)。
  従来技術として,敗血症の危険を有する患者及び敗血症の典型的な症候が見られる患者の血清又は血漿中のプロカルシトニン及びそこから得られる部分ペプチドの測定が,早期検出にとって有益な診断手段であることが知られていたが,敗血症のケースで形成されるプロカルシトニンが甲状腺のC細胞において形成されるプロカルシトニン1-116と異なるかどうかは明らかでなかった(【0002】,【0006】,【0008】)。
  本件発明は,敗血症等の患者の血清中に比較的高濃度で検出可能なプロカルシトニンが,プロカルシトニン1-116ではなく,プロカルシトニン3-116であることが実験的に確認されたことを踏まえ,そこから導かれる新規な敗血症等の検出方法を提供することを目的とするものである(【0001】,【0009】,【0010】)。

争点1(被告方法は本件発明の技術的範囲に属するか)について     「プロカルシトニン3-116を測定すること」の意義
  構成要件Aは「患者の血清中でプロカルシトニン3-116を測定することを含む」というものであるところ,一般に,「測定」に,長さ,重さ,速さといった種々の量を器具や装置を用いてはかるという字義があることからすると,「プロカルシトニン3-116を測定すること」は,プロカルシトニン3-116の濃度等の量を明らかにすることを意味すると解するのが文言上自然である。
また,前記1⑵認定のとおり,本件発明は,敗血症等の患者の血清中に比較的高濃度で検出可能なプロカルシトニンがプロカルシトニン1-116ではなく,プロカルシトニン3-116であることが確認されたことを踏まえて新規な敗血症等の検出方法を提供することを目的とするものであり,このような本件発明の目的に照らせば,本件発明は,患者の血清中においてプロカルシトニン3-116が比較的高濃度で検出されるか否かを見ることを可能とすることが求められているということができる。
以上から,構成要件Aの「プロカルシトニン3-116を測定すること」は,プロカルシトニン3-116の濃度等の量を明らかにすることを意味すると解するのが相当である。

  この点につき,原告は,「プロカルシトニン3-116を測定すること」は,プロカルシトニン3-116を敗血症等の検出に必要な精度で測定ないし検出することができれば,プロカルシトニン3-116だけを特異的,選択的に測定することに限られず,プロカルシトニン3-116とプロカルシトニン1-116及びその他のプロカルシトニン由来の部分ペプチドとを区別することなく測定することも含むと主張しており,その意味するところは明確でないが,血清中のプロカルシトニン3-116を検出しさえすれば足りるものである旨の主張であるとすれば,それはプロカルシトニン3-116の存在を明らかにすることで足り,その量を明らかにすることは必要ではないことをいうものであって,前記アでみた「測定」の文言の解釈に反するものであり,採用することができない。
また,血清中のプロカルシトニン3-116とプロカルシトニン1-116等とを区別することなく測定することがプロカルシトニン3-116を測定することに該当すると主張するものであると解しても,そのような測定方法では,血清中にプロカルシトニン3-116が存在するかも明らかにならず,もとより,血清中のプロカルシトニン3-116の量も確認できないから,これを「プロカルシトニン3-116を測定すること」に該当するというのは文言上困難である。

  被告方法
前記第22⑸ア認定のとおり,被告装置及び被告キットを使用すると,患者の検体中において,プロカルシトニン3-116とプロカルシトニン1-116とを区別することなく,いずれをも含み得るプロカルシトニンの濃度を測定することができ,その測定結果に基づき敗血症の鑑別診断等が行われていると認められるものの,本件全証拠によっても,被告装置及び被告キットを使用して敗血症等を検出する過程で,プロカルシトニン3-116の量が明らかにされているとは認められず,更にいえば,プロカルシトニン3-116の存在自体も明らかになっているとはいえない。
したがって,被告方法は,構成要件Aの「プロカルシトニン3-116を測定する」を充足するとはいえない。

  小括
よって,被告方法は,本件発明の技術的範囲に属するとはいえない。

結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
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プロフィール

徳重大輔


Author: 徳重大輔

バイオ、医薬、特許関連のブログです。
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SK特許業務法人に勤務しています。明細書作成、特許調査、その他一通りやってます。明細書はバイオ医薬(特に抗体医薬)、調査は無効資料調査が特に得意です。

お問い合わせはbiopatentblog@gmail.com(@は半角)へお願いします。

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